企業は、夫々の企業が描いている存在目的を実現する人たちの集まりであり、そこに、組織としての存在意義があります。社会の発展」のために社会や文化、行動(の規範)、変革に対する意識の変革を構想しても、その変革の目的を共有して「社会の発展」を実現するためのディスラプション(ディスラプティブ・イノベーション)を興していくのは組織であり、そこに関わる全ての人々の一人ひとりです。そうした全ての人々の一人ひとりが企業の存在目的のためにベクトルを合わせて行動していけるように組織も変革されなければなりません。
組織に関する考え方の変化
企業の目的は利潤の追求であり、人は利己的に利益を追求する存在(経済人モデル)であるという前提に基づいて、生産性を高めて裕福な社会をつくるために組織はどのようであれば良いかという問いに対して、産業革命以降、近代経済の発展に至るまで様々に工夫がなされてきました。
21世紀のこれからの地球全体として豊かな社会を築いていくためには、企業に対しても SDGs “Sustainable Development Goals” への取り組みが求められ、投資家からも ESG “Environment、Social、Governance” に配慮した経営が行われていることが求められるようになってきました。そして、多様性のある社会発展と包摂的な経済成長を実現するために、組織の一人ひとりも「心豊かに暮らせる社会」の構築と「人夫々のQOLの最大化」を思考し、未来社会に向けた価値を創造する「新たなイノベーション」の創出に取り組んでいかなければならなくなってきました。
こうした中、組織に対する考え方も次第に変更が加えられ、トップダウンの指示の下で権限委譲された範囲で合理的に行動する組織から、学習して成長していく組織、企業の存在目的に共感し自律的に行動していく組織へと進化してきました。
これからの組織変革が目指す方向性
独自の力でイノベーションを巻き興していこうという企業と、新規事業を起こして短期的に儲けを出していこうという企業の違いは 価値創造の構図 の違いに如実に現れます。 以下には、その違いを、「未来社会の価値を創造する組織」と「これまでの知見」との対比で示していきます。なお、本来、「これまでの知見」と「新規事業を起こして短期的に儲けを出していこうという組織」を一括りにしてしまうことはできませんが、ここでは、“価値創造の構図” 上では、同様とみなして話しを展開していくことにします。
詳細は 未来社会の価値を創造する組織 を参照下さい。
創造性と実現力の向上を目指す組織のデザイン
イノベーションは、元々は経済用語であり、経済成長のための理論です。しかし、社会の発展という視点からすると、ある意味では社会現象であるということもできます。イノベーションが普及していく過程において社会は変化し、変化した社会は新たなイノベーションが巻き興るための土壌となります。すなわち、イノベーションと社会は互いに相関しながら発展していくことになります。
イノベーションに関わる企業は、自らの力でイノベーションを巻き興していく活動を推進するとともに、そのイノベーションによって発展していく社会の変化を捉えて、さらなるイノベーションに挑んでいかなければならないという運命を担っています。この点で、単に新規事業を起こして、短期的に儲けを出していこうという企業とイノベーションを独自の力で興していこうという企業との間に大きな違いが生じます。
イノベーションを巻き興していくには、組織全体として企業の存在目的として示されているビジョンの実現のために、何ができていなければならないかという認識を組織にいる一人ひとりが夫々の立場で自ら理解し、社会の変化のその先に創造すべき社会的価値の創造のために、組織全体として相互に調和をとりながら自律して行動していかなければなりません。
そのためには、①未来社会に創造すべき価値を自らデザインしていく組織能力、②様々な要因が絡み合って変化していく状況をダイナミックなシステムとして捉えて、その実現に向かって行動していく組織能力を高めていくことが求められます。 そして、これらの組織能力こそが 組織の創造性と実現力 と言うことができます。
- 未来社会の発展につながるビジョン
- ビジョンを実現していくアジェンダ
- ディスラプティブイノベーションに向けた戦略的マネジメントシステム
- ダイナミックに行動するクリエイティブな組織づくり