今、社会で起きているパラダイムシフト は、サステナブル に向かう価値意識の変容と言えます。 こうしたサステナブル を規範とした社会の下では、企業の役割も変化し、経営における考え方や取り組み方も、これまでの経済成長一辺倒のやり方とは異なったものに変化していくと考えられます。
※これからの企業に求められる役割と追求すべき新たな価値:未来社会における価値の創造
これからの社会で果たすべき企業の役割は、社会の持続可能な発展を実現させていくことであり、そうした活動を通して、企業も自らの社会的価値を確立して社会に受け容れられる存在となり、持続可能な成長を成し遂げていくことができる。
当社は、社会の持続可能な発展 “susutainable development” と企業の持続可能な成長のサステナブル・サイクル、および、イノベーショナル・エコノミーの思考が創り上げる新たな世界、すなわち、サステナブルワールド の構築を目指して参ります。 (サステナブルワールド については こちら をご参照下さい)
サステナブルワールドの実現に向けて 社会の持続可能な発展に向けた取り組みのポイント
サステナブルワールドの実現には、これまでの様に、ただ単純に、大量生産・大量販売・大量消費の成長モデルを描けば良いというものではありません。 それ以上に、事業そのもの、及び、事業を展開するプロセスが、本当に未来社会における価値を生みだしうるのかといったことにも心を砕く必要があります。
企業の独自に持つ強み、すなわち、競合他社に対して競争優位性をもたらす差別化要因としては、(1) 持続可能な社会の発展への思いそのものが企業としての社会的価値となり、(2) 社会の持続可能な発展を実現する組織能力が問われ、(3) マーケティングにおいても、社会全体のメリットを社会全体へ訴求することができ、(4) 多様性を受容し一人ひとりの独自性の実現にも応え、(5) 実際に、それを実現していく手法を開発しブレークスルーしていくダイナミックな行動が求められます。
そのためには、目の前にある目先のことではなく、すなわち、直面する問題に対する当面の対症療法的な取り組みでなく、その先にある将来 を見透した取り組みを誠実に継続していくことが必要であり、その結果は、企業の持続可能な成長へと結実していきます。
それではここで、上図に沿って、“社会の持続可能な発展”のためのフレームワークについて、押さえておくべきポイントを以下に整理しておくことにします。
- 高度経済成長期の大量生産・大量販売・大量消費のモデルでは、PPM、SWOT分析や競争戦略の手法が多用された。そこでは市場への訴求と経済合理性(例えば、量産効果でコストダウンできる)を基本原理として考えさえすればよかった。
- しかし、社会が変化し、社会性に訴求して企業ブランドの向上を図り、また、一人ひとりの個性(アイデンティティ)の実現に訴求し、多様性の向上(多様な価値観に対応する)を図ることが求められるようになってきた。
- こうした状況を打開しブレークスルーしていくためには、組織内で通用してきた経済合理性(例えば、分業化による効率化やコストダウン等)ばかりではなく、一人ひとりのニーズにきめ細かく対応しうる事業の創出(例えば、ものではなくサービスの視点から捉えた商品開発)、社会から見た合理性(例えば、安心・安全への対応、ユニバーサルデザインの導入、縦割りではなく組織横断した対応等)に訴求しうるような組織への変革が必要である。
- これらを実現するためには、利便性を追求した既存の商品や発想から離れ、持続可能という発想に視座を移して、将来を思う事業軸を考えてみることが大事である。そこでは、市場性や合理性ということばかりでなく、社会全体としてのメリットで社会全体に訴求する 社会の持続可能な発展 というコンセプトが必要となる。
- 新たに創造したコンセプトの実現には、2通りのアプローチがある。一つは、社会全体に訴求しうるビジネスとして経済性を追求するアプローチであり、もう一つは、経済性の追求を度外視した事業により社会の持続可能な発展に貢献することで企業ブランドの向上を図るアプローチ(純粋に社会貢献事業とする)である。
- 前者のアプローチは、未来社会における価値を創造する長期的な収益源となるコア事業の創出であり、直接的に企業の持続可能な成長につながる。社会性に訴求しつつも、それ以上に、一人ひとりの個性(アイデンティティ)の実現に訴求し、多様な価値観にきめ細かく対応する事業としてビジネスモデルを構築していくことになる。そして、そこにで収益をも生み出す効率性なりのビジネスロジックが磨き上げられていく。
- 後者のアプローチは、企業の社会における存在価値を高めて、間接的に企業の持続可能な成長につながっていく。前者のアプローチと後者のアプローチを相乗させることによって、低価格による競争の場ではなく、ブランドの付加価値による優位性での競争の場に持ち込むことができるようになる。
- ビジネスロジックの構築においては、従来から使い慣れた PPM、SWOT分析や競争戦略の手法を活かすこともできる。また、市場分析なども同様に活用できる。しかし、そこに社会的な視点、すなわち、社会的課題やその解決に向けた動向などの視点を加えていかなければならない。
社会の持続可能な発展へのコンセプトとその実現に向けての2つのアプローチは、一度に行うことはできません。 「企業経営のデザインコンセプト」 に示しますように、社会の持続可能な発展を実現していく上での6つの活動テーマ、企業が持続可能な成長をステージアップしていく3段階の過程を道しるべとして進めていくとよいでしょう。
イノベーショナル・エコノミーに結びつけていくために
サステナブル・ワールドでは、未来社会における価値の創造を目指していくことにより、社会の持続可能な発展と企業の地蔵く可能な成長を実現していきます。
しかし、それは、単発の事業を起こしていく取り組み、単発のイノベーションを意図した取り組みであっては、社会の経済成長にも、企業の長期的な収益源にもつながってはいきません。それは、イノベーションがイノベーションを巻き興す好循環を意図していくイノベーショナル・エコノミーによって実現されていくものです。サステナブル・ワールド、サステナブル・サイクル、イノベーショナル・エコノミーへの取り組みはワンセットなのです。
企業の成長力強化は、単に、PPMやSWOT分析、市場分析によって構想された戦略では実現できません。サステナブル・イノベーションを意図して仕組んでいくことで、始めて、結実していきます。