サステナブル を志向する社会におけるマーケティングは、サステナブル・イノベーションにより創造されたサービスやモノの提供を受ける社会やその中で暮らす一人ひとりの受益者の深層にある心理、ニーズ(これを実現したい、解決したい)を思考するマーケティング手法として位置づけることができます。
“Sustainable” の深層にある “コト”
最近、「ストーリーに訴求して売りなさい」など、ストーリー性を重視した言葉をよく耳にするようになった。世の中では、それだけモノではなく 「コト」 への関心が高まってきている一つの現れでもあります。
経済的にも発展して、生活の中にゆとりがでてきた社会にあっては、心豊かさを求める気風も高まってきています。サステナブル の実現は、究極のところ、心豊かさのある暮らしの実現になるとも言えます。当社の考える サステナブル・サイクル の中心には「心豊かさのある社会」があり、「社会の持続可能な発展」と「企業の持続可能な成長」のスパイラルアップして発展していくサイクルによって「心豊かさのある社会」は育まれていくものと考えられます。
暮らしの中にあるストーリーのフレームワーク
暮らしの中のストーリーの中心は「実現したいこと」であり、「場の実現、スタイルの実現、シーンの実現」でもあります。そしてこれらは、ライフスタイル、ライフイベントの過ごし方に依存し、逆に影響を及ぼしていきます。そこに「心の中の商品の存在感(持っていることで感じる価値)」「購買の意味づけと価値づけ(買うに際して納得できる価値)」「お金と時間の使い方」「感性と心理」が関わり、『暮らしの質』をその人の趣向に合った内容や生活レベルに高めていくことになります。また、更に、外部からのムーブメントやトレンドがブレンドされ、商品やサービスの提供者からの「商品と場のコーディネーション」「プロモーション」といった情報が加味されて「実現したいこと」が具体的に現れ実現して行くことになります。
ここで、注意しなければならないことが2つある。
- 我々がビジネスで暮らしの中のストーリーを描く際には、小説やエッセイを書く訳ではないから、商品を提供する側に視座して、日々の生活の中で暮らしていくイメージをイキイキと描いていかなければならない。
- 商品やサービスの提供者の思いで、暮らしの中のストーリーを描いてはならない。あくまでも、顧客の日々の暮らしの中から商品の存在意義やプロモーションによる訴求の影響を考えなければならない。
このためには、従来のマクロマーケティング手法の様にステレオタイプで一人ひとりの暮らしを捉えるのではなく、どこで、どんなライフスタイルで暮らしている消費生活者を捉えるか絞り込んで、その個々の人の 暮らしの中にあるストーリーの切り口と要素 を分析し、暮らしの中の行動 や 家族や地域で伝承される風習 について掘り下げて思考していくことが必要になります。
【まとめ】 サステナブル社会における深層マーケティングにおいて思考しなければならないこと