小手先の対応で済ませられると考えていないか

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組織改革戦略#お互いに抑鬱的に抑え込んで、自由闊達な意見を出させない雰囲気がある、
小手先の対応で済ませられると考える、ものごとの本質を捉えて考える

“ものごとの本質を捉えて考える”に特徴づけられる変動要因とその論点

“ものごとの本質を捉えて考える”について掘り下げる上で、共通に認識しておかなければならない論点がある。

  • 社会、市場は、常に急速に多様に、変化している。どの企業も、生き残りをかけて少しでも早く、少しでも多くの知見を獲得し、他社との差別化を図って優位性を確保しようとしている。
  • ビジネス環境の変化に対して、今のままでも何とかなるだろうと何ら手を打たないまま放置してしまうと、やがては、抑制が効かないほどに大きな問題となって襲いかかってくる。

また、“ものごとの本質を捉えて考える”ことを阻害する要因があるとして、その背景には以下の理由が潜んでいると考えられる。

  • [出る杭は打たれる]
    • “差し出がましいことをすると、人から非難され、恨みを買ってしまうと思えば、何もしない方がましである。
  • [火中の栗を拾わない]
    • 自身の立場や利害損得がかかっていて、何もしなくても今のままが得なら何もしない。
  • [茹で蛙の法則]
    • 例え重大な変化であっても、変化が緩やかなうちは、安穏と過ごしていたい。

もし、小手先の対応で済ませられると考えているとすれば、それはどういうことか

ものごとを表面的に捉える

  • “ものごとを表面的に捉える”とは
    • ものごとを“現象面”だけで捉えて、“対症療法”(患者の症状に対応して行う療法。比喩的に、根本的な解決にならない当面の方策の意にも使う。広辞苑第六版)で対処すること。
  • “ものごとを表面的に捉える” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • “モグラたたき”という言葉がある。ものごとの現象だけを捉えて対症療法的に対処していると、その対応に追われるだけに終わるだけである。結局、体力(経営資源)を失ってい、貴重な時間をも失っていく。
    • “オールマイティ”(何でもこなせること。いかなる難事をも解決できるもの。また、そのような人。万能。広辞苑第六版)という言葉もある。ものごとの本質を捉えて、誰よりも先んじて根本的な解決手法を編み出した企業が、変化の時代に競争優位となる。
  • “ものごとを表面的に捉える”理由
    • 「視野が狭く視点も低い」「時間がない」「本質を思考する発想がない」「本質を思考する思考力がない」といった組織としての思考能力がない
    • 日々の成果を上げることに固執して、「そんなこと(本質)より、今、をどうするか考えろ!!」という発言や風潮が支配している
    • その対処に、「自ら多大な労力をつぎ込まなければならない(負担となる)」「責任を負わなければならない」「自分の利益にならない」「自分の既得権益を阻害してしまう」「誰にも評価されないし、自分の業績にもならない」のであれば、ものごとの本質を捉えていても、それを隠して“ものごとを表面的に捉える”に徹してしまう。
  • ものごとの本質に言及しない仕事は形式不良とする
    • 何故、ものごとの本質に言及しない仕事は形式不良とするのか
      • ものごとの表面だけを見ていては事実を見誤る。
      • 事象の背景や前提、関わる人達の人脈と利害損得、歴史的に見た経緯とものごとのいきさつ、将来に向けて持つ意味等を多面的に捉える必要がある。
      • そのことが社会、市場、顧客、自らの組織に及ぼす影響を考えて、どうあるべきか、どうるすべきかを考える。
    • 如何に、ものごとの本質に言及しない仕事は形式不良とするか
      • 最も簡単な方法は、問題や不具合について「何故-何故-何故-何故-何故」(最低でも3段階~5段階)、新たなアイディアや対策につて「何のため-何のため-何のため-何のため-何のため」(最低でも3段階~5段階)を繰り返して自問することである。
      • 組織内の検討会議やレビューにおいて、常に「何故-何故-何故-何故-何故」(最低でも3段階~5段階)、「何のため-何のため-何のため-何のため-何のため」を繰り返す習慣づけする。
      • 設計基準や社内文書の書式にも本質を探る「背景」「前提」を記載を義務付けることで、“ものごとの深層に目を向ける”習慣を浸透させる。

現状を是認して考える

  • “現状を是認して考える”とは
    • “現状の是認”(是認:よしと認めること。広辞苑第六版)とは、現状をよしと認めることであり、“現状を是認して考える”とは、現状をよしと認めた上で考えることである。
  • “現状を是認して考える” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 社会、市場が変化していく中で“現状をよしと認めた上で考える”ということは、早晩、時代遅れになってしまうことを意味する。
    • “現状を是認して考える”ことで、企業は競争力を失い、経営を危うくする。
  • “現状を是認して考える”理由
    • 新たな発想ができない人にとっては“現状を是認して考える”ことが一番楽である。
    • 権威のある人、経験のある人が言うのだから間違いない。間違っていたとしても、彼の責任だから口出しをするのは止めた方が良い。
    • “長い物には巻かれよ”(目上の人や勢力のある人には争うより従っている方が得である。広辞苑第六版)という諺がある。既存事業のパワーストラクチャがある中で、“現状を否定して考える”ことには勇気がいるし、労力も要する。更には、自らの立場を危うくする。
  • 問題点の核心を衝く発言で議論する
    • 何故、問題点の核心を衝く発言で議論するのか
      • 何ごとにも“核心”(物事の中心となっている大切な所:広辞苑第六版)がある。ものごとの深層に目を向けても“核心”を衝いていなければ“的はずれ”である。“的はずれ”の議論をどんなに続けても“的はずれ”の結果しか生まない。要するに、ムダである。
      • 社会には様々なうわさ話、流言飛語、根も葉もない風評に満ちている。これらに惑わされないためには、自分なりの判断基準が必要である。この判断基準の精度を高めていくプロセスが“問題点の核心を衝く”ための行動であり、そうした行動と結果のフィードバックにより精度の高い“問題点の核心を衝く”ことにつながる。
      • 獲得した“核心”と“核心を衝くためのプロセス”は、組織としても、個人のキャリアとしても財産となる。
    • 如何に、問題点の核心を衝く発言で議論するか
      • “問題点の核心を衝く発言で議論する”ことと、「大声で相手を罵倒する」「策を弄する」「口車に乗せる」は異なる。夫々の価値観や人生観を尊重し、お互いの視点で考えた“問題点の核心”で議論することを重視する。ここで“発言で議論する”とは、単に会議体でのことではなく、提言書、提案書、論文等の文書であっても良い。
      • 事業の維持や組織の存続のためではなく、社会や市場の変化に鑑みた“問題点の核心”の発案の価値でその人を評価する。
      • 深層に目を向けて隠された事実を捉えても、その根拠となる情報に誤りや恣意性、誤謬があると“核心”を外してしまう。“核心”に到るロジックに矛盾がないか精査して余計なものを取り除くことで“核心”に迫り、“問題点の核心を衝く”ことにつながっていく。

現下の阻害要因ばかりに目を向ける

  • “現下の阻害要因ばかりに目を向ける”とは
    • 真に重要なことは“問題の本質”を分析することであり、現状の“阻害”(へだてさまたげること。じゃますること。広辞苑第六版)する要因をいくら分析しても問題の解決にはならない。
  • “現下の阻害要因ばかりに目を向ける” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • どんなに時間をかけて“問題の本質に触れることなく、現状を是認して考えて、現状の阻害要因を分析”しても、結局“今のままに手を加えて何とかしていこう”という結論にしかならない。
    • “今のままに手を加えて何とかしていく”ことでは、企業の競争優位性にはならない。
    • 競争優位性を築けないままでは、将来の企業の存続を危うくする。
  • “現下の阻害要因ばかりに目を向ける”理由
    • 自ら何をなすべきか考えることは難しい。だから、現下の阻害要因ばかりに目を向けてお茶を濁してしまう。
      • 企業が社会や市場に果たすべきミッション・ビジョン・戦略、個々の事業に課せられたミション・戦略を掲げて経営革新、業務改革を目指す企業は多い。しかし、その実現のために何をなすべきかを考えることは難しい
      • 事例を研究し真似をして答えを見つけるのも手であるが、変化の時代に、事例は参考とはならない。ましてや、様々な独自の付加価値を構築するためにはアイデンティティ(自己同一性)こそが重要であり、他社の事例は参考にならない(教科書知識は役に立たない)。
      • 何をなすべきか考えることができないから、ついつい、“どうやってやるかを考える”ことで問題を解決できると勘違いしてしまう。
    • 誰しも、“今の自分の悩みが解決すれば助かる”という発想で考えがちである。
    • “何をなすべきか”に立ち戻ってしまうと、自らの既得権益を失いかねないし、立場をなくすことにもなってしまう。
  • 問題の核心から何をなすべきかを考えて計画を見直す
    • 何故、問題の核心から何をなすべきかを考えて計画を見直すのか
      • ものごとが上手くいかない阻害要因は様々にある。社会、市場、顧客ニーズの変化を捉えていないこと、ついて行けないことが表面的な問題であったとしても、その深層には、組織内の能力不足や組織内のコンフリクトに起因している場合が多い。
      • そこで、“問題の深層に目を向けて、問題の核心を衝く”ことへとつながるが、それだけでは、「総論賛成、各論反対」で終わってしまう。いくら頑張って問題の核心を衝いても、現状の改善や改革に結びつかなければ、単なる評論に終わってしまう。何としても“問題の核心から現状を見直す”につなげなければならない。
    • 如何に、問題の核心から何をなすべきかを考えて計画を見直すか
      • “問題の本質に触れることなく、現状を是認して考えて、現状の阻害要因を分析する”ことは、業務改革や情報化の要件定義の様々な場面で屡々見受けられる光景である。
      • 機軸となる経営書の思い、経営理念、ビジョンを明確にして、経営戦略として“何をなすべきか、問題の核心から現状を見直す”を明言して検討委員会を立ち上げてクロスファンクション組織から提言するのが近道である。また、外部の識者を加えて、客観的な意見を取り入れることも一つの手である。
      • しかし、内発的に見直しが行われるようになることが、組織の自己組織化、組織の自律性を高める上で重要である。自然発生的な緩いオープンネットワークの結びつきを推奨し、組織横断的に見直し案が生み出されるようにして、それがオープンに組織内に持ち上がる仕組みを構築することも必要である。

即効性のある対症療法を考える

  • “即効性のある対症療法を考える”とは
    • 変化の時代に競合他社に先駆けて“即効性”(薬などのききめが即時に現れること。広辞苑第六版)のある対策を打つことは極めて重要なことである。しかし、ものごとを“現象面”だけで捉えた“対症療法”(患者の症状に対応して行う療法。比喩的に、根本的な解決にならない当面の方策の意にも使う。広辞苑第六版)では、早晩効き目を失う。
  • “即効性のある対症療法を考える” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • ものごとの現象だけを捉えて対症療法的に対処していると、その対応に追われるだけに終わるだけである(モグラたたき)。体力(経営資源)を失ってい、貴重な時間をも失うだけである。
  • “即効性のある対症療法を考える”理由
    • “ものごとを表面的に捉える”と同様の理由による。
      • 「視野が狭く視点も低い」「時間がない」「本質を思考する発想がない」「本質を思考する思考力がない」といった組織としての思考能力がない
      • 日々の成果を上げることに固執して、「そんなこと(本質)より、今、をどうするか考えろ!!」という発言や風潮が支配している
      • その対処に、「自ら多大な労力をつぎ込まなければならない(負担となる)」「責任を負わなければならない」「自分の利益にならない」「自分の既得権益を阻害してしまう」「誰にも評価されないし、自分の業績にもならない」のであれば、ものごとの本質を捉えていても、それを隠して“即効性のある対症療法を考える”に徹してしまう
  • 根本的な抜本策になっているかを顧みて計画を見直す
    • 何故、根本的な抜本策になっているかを顧みて計画を見直すのか
      • 根本(物事が成り立つ、そもそもの大本:広辞苑第六版)、抜本(根本の原因を抜き去ること:広辞苑第六版)であるから、問題に対する根本的な抜本策を考える”とは「問題が成り立つそもそもの原因を抜き去ること」ということになる。
      • かつて、マイケル・ハマ-は『リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新』(日本語訳2002年、日本経済新聞社)という本で、“BPR Business Process Reengineering”において、企業の既存の管理方法や業務プロセスを“抜本的に、劇的に変える”と主張していた。それは、トップダウンの戦略、インセンティブによる外発的動機付けで人間を動かす経営においては、正論であったが、実現できた企業は少ない。
      • 上手くいかなかった企業においては、インセンティブも夢物語だった(外発的動機付けが機能しなかった)ことで、組織内の内発的な動機付けも永遠に損なわれ、リストラを通して優秀な人々の流出を招いてしまった。
      • マイケル・ハマ-の「企業の既存の管理方法や業務プロセスを抜本的に、劇的に変える」という取り組みは、管理の仕組み、業務プロセスをいくら変えても、人が変わらなければ何も変わらないことを示している。すなわち、経営者層の考え方や利害対立(派閥)、既存の事業を維持しようとする組織内の強い意思、培われてきた組織文化をそのままにしておいても、何も変わらないのである。
      • “根本的な抜本策になっているかを顧みて計画を見直す”は、組織のこうした問題を直視することから始めなければならない。
    • 如何に、根本的な抜本策になっているかを顧みて計画を見直すか
      • “何をなすべきかを考えて、問題の核心から計画を見直す”ための下記取り組みに結びつけて、継続して実施する。
        • 機軸となる経営書の思い、経営理念、ビジョンを明確にして、経営戦略として“問題の核心から現状を見直す”を明言して検討委員会を立ち上げてクロスファンクション組織から提言するのが近道である。また、外部の識者を加えて、客観的な意見を取り入れることも一つの手である。
        • しかし、内発的に見直しが行われるようになることが、組織の自己組織化、組織の自律性を高める上で重要である。自然発生的な緩いオープンネットワークの結びつきを推奨し、組織横断的に見直し案が生み出されるようにして、それがオープンに組織内に持ち上がる仕組みを構築することも必要である。
      • 日本的文化として根回しが重視される。しかし、経営者が同意してもすぐに実施されない、経営者層の利害対立やパワーストラクチャの都合で、この継続を分離したり、中断したり、棚上げにしたり、後送りにすると、組織内のモチベーションが一気に失われてしまう。


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