経営戦略論

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成熟社会における経営戦略論

 我々は、1950年代にイゴール・アンゾフが示した「成長マトリクス」(新市場-既存市場/新製品-既存製品)の4象限(市場開拓、市場浸透、多角化、新商品開発)という経営戦略を考えるフレームワークを手にしている。また、1960年代にアルバート・ハンフリーが示し経営の初歩的な思考方法となったSWOT(強み-弱み/機会-脅威の4象限でリソース戦略(経営資源の投入に関する選択と集中)と競争戦略をミックスして考える)で戦略を考えることもできる。 しかし、これらの方法論が生まれ育ったのは、既に幻想となった欧米先進国型の高度経済成長下での大量生産・大量販売・大量消費を前提とした社会である。

 21世紀の現代に生きる我々は、成熟化して多様性や個性が重視される社会に生きており、かつ、グローバルに技術も商品も瞬く間に拡散し、常にゼロサム競争の消耗戦にさらされている。 今、そして、これからの経営においては、自分にとって都合の良い、すなわち、自分達の目線で主観的に、社会/市場/顧客/競争相手を想定して、経営戦略(市場や製品、経営資源の選択と集中)を考えて、安穏としている訳にはいかない。 我々が今すぐに取りかからなければならない真に重要なことは、①社会の趨勢と自分達の発想のどちらが先に進んでいるか、②社会の趨勢の方向と自分達の発想の方向が将来に整合しうるか、を見極めて経営戦略を構想することである。

 そして、社会の趨勢と自分達の発想の先進性と方向性を踏まえた上で、経営戦略として考えなければなければならないことは、自ら社会の変化を巻き起こす-社会の変化に適応していく/新たな発想に転換する-これまでの発想を貫く、という4象限である。 尚、発想を転換して新たな経営戦略を展開するということは、既存の発想を捨て去ることでもあり、それまでの経営戦略の出口戦略にも思考を巡らせ、既存の顧客に対してインパクトの最も少ないソフトランディングできる方法を講じなければならないということでもある。

 ここで言う発想とは、経営思想であり、企業として未来を切り拓いていく根幹の考え方である。それは、社会発展や人々の暮らし方・働き方の質の向上に将来にわたり寄与していく商品や技術を実現する研鑽されたアイディアとして表出される。

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