一人ひとりが考えて行動することを束縛していないか

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組織改革戦略#お互いに抑鬱的に抑え込んで、自由闊達な意見を出させない雰囲気がある、
一人ひとりが考えて行動することを束縛していないか、一人ひとりが自ら考えて行動する組織にする

“一人ひとりが自ら考えて行動する組織にする”に特徴づけられる変動要因とその論点

“一人ひとりが自ら考えて行動する組織にする”について掘り下げる上で、共通に認識しておかなければならない論点がある。

  • 社会、市場は、常に急速に多様に、変化している。どの企業も、生き残りをかけて少しでも早く、少しでも多くの知見を獲得し、他社との差別化を図って優位性を確保しようとしている。
  • ビジネス環境の変化に対して、今のままでも何とかなるだろうと何ら手を打たないまま放置してしまうと、やがては、抑制が効かないほどに大きな問題となって襲いかかってくる。


また、“一人ひとりが自ら考えて行動する組織にする”ことを阻害する要因があるとして、その背景には以下の理由が潜んでいると考えられる。

  • [出る杭は打たれる]
    • “差し出がましいことをすると、人から非難され、恨みを買ってしまうと思えば、何もしない方がましである。
  • [火中の栗を拾わない]
    • 自身の立場や利害損得がかかっていて、何もしなくても今のままが得なら何もしない。
  • [茹で蛙の法則]
    • 例え重大な変化であっても、変化が緩やかなうちは、安穏と過ごしていたい。

もし、一人ひとりが考えて行動することを束縛しているとすれば、それはどういうことか

縦割組織である

  • “縦割組織である”とは
    • “縦割”(組織が上下の関係を中心に運営され、横の連絡のないこと。広辞苑第六版)にする目的は、ある特定の専門分野を深めて、上意下達(上の者の意志や命令を下位の者に通じさせること。広辞苑第六版)で効率良く仕事を進めることにある。
  • “縦割組織である” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 成熟した社会にあって、企業にも、多様な生き方、多様な価値観のできる社会の実現が求められている。“縦割組織”の効率性は、多様性を求める社会的ニーズを実現する上では、むしろ弊害となっている。
    • 社会的ニーズの実現を阻害(へだてさまたげること。じゃますること。広辞苑第六版)となっている“縦割組織”に固執していることは、組織として社会や市場のニーズに応える価値を創造出来ないことを意味している。早晩、企業としても存続が危うくなる。
  • “縦割組織である”理由
    • 誰しも、自らの既得権益を失いたくないし、自らの既得権益を失う“やぶ蛇”(藪をつついて蛇を出す、不必要なことをしてかえって禍を受けるたとえ。広辞苑第六版)になることはしない。
    • “縦割組織”で成功してきたのに、自ら“縦割組織”を壊したくない。
    • “縦割組織”での行動パターンが自然の振る舞いとして身についているため、自己否定(自己自身のあり方を否定すること。広辞苑第六版)となる様な行為はできない。すなわち、自ら問題意識が持てない、具体的な課題を認識できない、どう行動したらよいか分からない。
  • 自発的に横連携する内発的な動機づけをし、横連携の制度、仕組みを早急に立ち上げる
    • 何故、自発的に横連携する内発的な動機づけをし、横連携の制度、仕組みを早急に立ち上げるのか
      • 長年維持してきた自分達の組織を守り、自分達の権限や権益を守る抜くためには“縦割り組織”にして強固な壁で防御することが効率的である。しかし、多様化しグローバル化する社会にあって様々なニーズに応えていくために、解決しなければならない課題も複合化し複雑化する。こうした社会においては、縦割り組織では対応できず、むしろ、様々な弊害が社会問題を引き起こしつつある。
      • 組織を守るための合理性を越えて、多様に変化する社会、市場、顧客ニーズに応えていくためには、組織は、組織の壁を越えて多様な専門性や価値観を持つ人達が“横連携”していかなければならない。
    • 如何に、自発的に横連携する内発的な動機づけをし、横連携の制度、仕組みを早急に立ち上げるか
      • “横連携する組織”は、組織の壁を越えて、多様な専門性を持つ人が自発的に相互に緩くつながっていく組織である。一人ひとりは自律して行動することができ、状況やテーマに合わせて、自らの裁量で意思決定し、自ら解決に必要な知見を探索し解決策を見出していく。
      • 組織の壁を越えて、多様な専門性を持つ人が自発的に相互に緩くつながっていく人達に活動の機会を提供する。
      • 組織の壁を越えて、多様な専門性を持つ人が自発的に相互に緩くつながっていくために必要な情報共有の仕組みを確立する。
      • 組織の壁を越えて、多様な専門性を持つ人が自発的に相互に緩くつながっていくために必要な組織を越えた緩いつながりを構築することのできる協業・連携の仕組みを確立する。
      • こうした人達が活発に活動できるようにするために、彼らの上司の間でも、意思疎通ができていなければならない。

管理部門のための管理に腐心する

  • “管理部門のための管理に腐心する”とは
    • 顧客対応や納期が迫る中、管理部門から「数字を出せ」「書類を出せ」と言われて困った経験は多くあると思われる。、しかも、大抵は納期厳守である。果たして、それは管理部門のため以外にどんな価値を生み出すのだろうか。
    • ここでの問題は、管理部門から依頼される仕事の殆どが定型的でありながら、実は、場当たり的で、その場凌ぎであることが多いことである。
    • それが企業の理念やビジョンを実現にとって本当に必要なことなら、現場に負担がかからない様な仕組みの構築に時間とお金をかけて取り組まなければならない。
  • “管理部門のための管理に腐心する” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 経営を誤らないためには、今、現場で起きていることを正確に把握して、迅速、かつ、適確に判断しなければならない。さもなくば、変化の時代に乗り遅れて競争優位となる価値を失ってしまう。ひいては、企業の存続を危うくする。
    • 現場は常に顧客と相対する最前線にいる。現場での顧客第一の活動に支障をきたすと、企業の信用は失墜してしまう。ひいては、企業の存続を危うくする。
    • 欧米文化では、企業業績を上げて成長させることで経営者が高額報酬を得て、かつ、キャリアアップして他社の経営に高額でリクルートされる。また、企業業績が落ちたときに事業の清算や人員削減をして再生させれば高く評価され、経営手腕を買われて他社の経営に高額でリクルートされる。残されるのは、疲弊した現場である。
  • “管理部門のための管理に腐心する”理由
    • 自己責任という思想が浸透し、管理者の心のなかに“言ってこないのは問題がない証拠”“問題があるのに言ってこないのは、言ってこない現場が悪い”という現場を突き放した感覚が深く宿ってしまっている。
    • 根本的に、現場の効率化とコスト低減、商品の高品質化、納期遵守につながらない管理は企業の価値を低下させるという意識がない。
      • 社会自体も様々な事態を乗り越えて学習し常に進化している。そして、企業の経営にも次々に新たな要求、新たな変革を求めてきている。
      • 企業に対して、次から次に多様な情報開示が求められていて、その都度、現場から情報を収集して報告しなければならない。
      • 株主や投資家、行政、NGO、様々な業界団体から、色々な視点からの情報開示を求められている。
      • 企業業績の迅速な報告が求められている。
      • “定量的に測定できないものは管理できない”という神話を盲目的に信じて、何でも指標化し、何でも数字化、何でも見える化しようとする。
    • こうした管理に対する意識とスキルの低さから、マネジメント自体の自動化、効率化のデザインが確立されていない。
    • 管理自体に対するデザイン思考が管理する人達の身についていない。
  • 現場の、現場による、現場のための管理の思想でマネジメントをデザインする
    • 何故、現場の、現場による、現場のための管理の思想でマネジメントをデザインするのか
      • 多様性が求められる時代にあって、全社を一律に統一した管理で統制する仕組みは弊害となる。
      • 組織の収益を生み出すのは“現場”である。管理部門(例えば、財務部門、法務部門、人事部門、総務部門、広報部門等)は、財務的にも、人事としても、“現場”の活動を支え、支援する部門であって、“現場”の活動を管理統制する部門ではない。
      • 一方、管理部門の業務自体も、効率と成果が求められる。管理部門が自らの目標を立てて自らの成果達成のために活動することは当然のことである。しかし、管理部門が設定する目標自体が現場の業務に関わる数値と関わってくるため、自らの目標達成のためには、現場部門を管理して現場部門に都合の良い数値を作らせろことになる。
      • こうした悪循環を断ち、管理部門が自らのためのの管理に腐心することなく、現場の目線での管理となるようにしなければならない。
    • 如何に、現場の、現場による、現場のための管理の思想でマネジメントをデザインするか
      • 逆ピラミッド型で組織図を描く企業も多い。逆転の発想ではあるが、ユニークな取り組みでもなく、そう簡単には意識改革につながらない。
      • “見える化”が喧伝されているなか、現場業務のICT化と管理業務の情報化を連携させて構築することは理に叶っている。
        • “現場のための管理をする”には、多面的に捉えた情報が必要である。公的情報、流通する情報以外に、ソーシャルネットワーク上の様々な情報をクロールして、より多くの見方による情報を活用する仕組みを取り入れなければならない。
        • 組織内で起きていることを捉えるには、統一のために変換した数字よりも、生のままのデータを時系列で、現場の視線で見ていくことが重要である。社内データを無理して統一化しようとせず、まずは一元化して、オープンに閲覧出来るようにすることが大事である。
      • 情報をオープンにすることで現場部門が自律的に動けるようになる。管理部門の知見や専門性を活かして、現場部門へのアドバイスや支援計画を策定し経営層に提案する等により“現場のための管理をする”仕組みを実現させていく。

従事率が最大であれば良いという発想である

  • “従事率が最大であれば良いという発想である”とは
    • 同一規格の商品を大量生産・大量販売する時代には、所定の時間に、所定の方法で作業をして、所定の生産・販売を達成し、かつ、効率化と高品質を実現しなければならなかった。この場合、所定の時間内に所定の作業以外を行うこと、余計なことを考えることは、どんなに価値のあることでも厳禁であり、モラルハザード(道徳的危険。広辞苑第六版)だと考えられてきた。
  • “従事率が最大であれば良いという発想である” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 社会や市場の多様な変化に直接接しているのは現場であり、現場が考えなければ変化に乗り遅れてしまう。ひいては、企業の価値を失い、存続が危うくなる。
  • “従事率が最大であれば良いという発想である”理由
    • 経営と現場の間には、常に、葛藤(心の中に、それぞれ違った方向あるいは相反する方向の欲求や考えがあって、その選択に迷う状態。広辞苑第六版)がある。
    • 契約やマニュアル社会の欧米文化では、現場の人間に対しては“従事率が最大であれば良い” という発想になる。
  • 組織全体に貢献する自発的行動を高く評価する
    • 何故、組織全体に貢献する自発的行動を高く評価するのか
      • 日本的経営の美点は、察して心遣いをする自発的行動であり、自発的な仕事の仕方をする文化である。
      • 従事率が最大であれば良いという発想で、人事評価制度が自発的行動を束縛してはならない。むしろ、大事なことは、一人ひとりが問題意識を持って“組織全体としての阻害要因を解決する”ために提案し活動する組織にすることである。
      • 組織の結束力をたかめるために“約束していないこともする”“信頼関係を築く”“チームワークを大事にして行動する”“心からのコミュニケーションを図る”といった活動や、“横連携する組織である”に一生懸命行動し成果を出しても、誰も高く評価されなければ、本人にとってその努力は空しいものとなってしまう。その結果として、内発的な動機付けは失われてします。それは、組織にとっても大きな損失である。
      • 成果主義が導入され、人事評価制度そのものが、“自分達の職務範囲だけをこなせばよい”“自分達の職務範囲外に手出しさせない”“独自に新しいことをしてはいけない”といった風潮を生み出している。
      • 部門としての数字を達成したい管理者も、担当者に対してこうしたことを徹底するように指示することになる。
    • 如何に、組織全体に貢献する自発的行動を高く評価するか
      • “組織全体としての目標達成に対して自ら何をすべきか考える”“自分達の職務範囲を超えて関係部門との協働、連携を推進している”“新しいことにチャレンジしている”といった担当者の姿勢は、企業の発展につながる“大切な芽”である。「それを考えるのは担当者ではなく経営者だ、管理者だ」と担当者に言うことなく、また、そうした雰囲気を作ることなく、自由闊達に意見を出し合い、実践できるようにすることが重要である。
      • ある特定の人や発信力のある人のの活動だけが取り入れられ、高く評価されることがあってはならない。誰でも平等に評価されなければならない。そのためには、経営者自身が現場を歩き、その場で、担当者と腹を割って話すようにしなければならない。経営者が現場を見にいくのは、現場の実態を目で見て考えることと、現場担当者と心からのコミュニケーションを図るためであり、現場がちゃんと働いているかチェックしにいくことでも、小言を言いにいくことでもない。
      • 組織全体に貢献する自発的な活動が高く評価される人事評価制度に変えていく。


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