一人ひとりが内発して自律的に行動しているか

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濁りきった空気の職場である、
一人ひとりが内発して自律的に行動しているか、変化を受けとめて自ら行動するための環境づくり

“変化を受けとめて自ら行動するための環境”に特徴づけられる変動要因とその論点

“変化を受けとめて自ら行動するための環境”について掘り下げる上で、共通に認識しておかなければならない論点がある。

  • 社会、市場は、常に急速に多様に、変化している。どの企業も、生き残りをかけて少しでも早く、少しでも多くの知見を獲得し、他社との差別化を図って優位性を確保しようとしている。
  • ビジネス環境の変化に対して、今のままでも何とかなるだろうと何ら手を打たないまま放置してしまうと、やがては、抑制が効かないほどに大きな問題となって襲いかかってくる。


また、“変化を受けとめて自ら行動する”ことを阻害する要因があるとして、その背景には以下の理由が潜んでいると考えられる。

  • [出る杭は打たれる]
    • “差し出がましいことをすると、人から非難され、恨みを買ってしまうと思えば、何もしない方がましである。
  • [火中の栗を拾わない]
    • 自身の立場や利害損得がかかっていて、何もしなくても今のままが得なら何もしない。
  • [茹で蛙の法則]
    • 例え重大な変化であっても、変化が緩やかなうちは、安穏と過ごしていたい。

もし、一人ひとりが内発して自律的に行動していないとすれば、それはどういうことか

言われたことしかしない

  • “言われたことしかしない”とは
    • “言われたことをきちんとこなす”のはは良いことだが、“言われたことをきちんとこなしさえすればよい”という訳ではない。
    • “言われたことしかしない”は古くからある問題である。大量生産・大量販売の時代には、“少しでも従事率を高くする”ことが求められていた。しかし、今は、それと異なり、契約社会、また、マニュアル社会になって、そこにある決められたことだけを行えば良いという風潮が生まれている。
    • 日本的経営の美点は、察し(おしはかること。おもいやること。広辞苑第六版)であり、心遣い(人のためを思っていろいろ気をつかうこと。広辞苑第六版)である。
  • “言われたことしかしない” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • “他人の事には関心を持たない”ことの問題と同様に、以下の問題が想定される。
      • 自分の範囲だけで問題を解決していれば済むなら、個人の能力を高めさえすれば良い。しかし、社会や市場の変化の兆候に対して、組織として先んじて対処していくためには、色々な専門を持つ人々が知恵を出し合い、発見されていない答えを見出していかなければならない。
      • “言われていないことでも、お互いに心遣いを持って”行動することが企業の付加価値となり、それが競争優位性となる。
      • 一人ひとりが“自分だけが成果をあげれば良い”と思って行動する企業は、競争優位となる価値を見出すことなく、勢いを失っていく。
    • “言われたことしかしない”ことが染みついた組織には活力がない。活力を失った組織には価値を自ら創造することもなく、競争優位性を失っていく。ひいては、企業の存続が危うくなる。
  • “言われたことしかしない”理由
    • “言われたことしかしない”は、自ら考える必要もなく、責任を取る必要もないから、楽な働き方である。
    • 教科書の詰め込み教育、ゆとり教育の結果として、“自ら問題を発見する習慣”“自ら考えて解決する習慣”が身についていない。また、そのための能力も鍛えられていない。
    • 成果主義の導入により、自分の決められた成果さえ達成すれば良いという人達が増えて、全体としての風潮にもなってきた。
  • 自ら目的を見つけ、自ら考えることの喜びを感じられるようにする
    • 何故、自ら目的を見つけ、自ら考えることの喜びを感じられるようにするのか
      • 社会や市場が多様に変化する時代に、従業員の一人ひとりも自分らしい心豊かな生き方をしたいと思う時代になり、また、社会保障制度の行き詰まりから将来の生活の不安、雇用不安を抱える中で、安定した職に就きたい、キャリアアップしたい、自己実現したいという欲求も大きくなってきた。
      • 「言われたことしかしない」とぼやく人が多い。しかし、それは作業を指示する人の問題であり、ひいては、そうした風潮が組織に蔓延してしまうことは管理者に問題があるからである。
      • 人というのは、目的をはっきりつかみ理解すれば、自然に“その目的のために何をしたら良いか”考えるものである。その切っ掛けを摘むのは指示する人の問題であり、自発し自律的に行動しようという当たり前の衝動を抑制するのは、組織に根深く浸透した古い考えに基づく組織文化の問題である。
      • 一人ひとりが“目的を自ら考える”習慣が身につき、自ら内発して自律的に行動するようになれば、その組織は付加価値を提供するとができるようになる。
    • 如何に、自ら目的を見つけ、自ら考えることの喜びを感じられるようにするか
      • まずは、指示する立場の人に“目的”明確に伝えて指示する習慣を身に付けさせることが大事である。
      • そして、伝えた“目的”が相手にきちんと伝わったか言葉の上で確認し、それをどのように捉えたか、その結果、何をするべきかを理解したか、目標をどう設定しどう行動するかを考えているか、支持者としてどう支えるか、をディスカッションして齟齬のないように共有しあうようにすることが重要である。
      • 状況を見て、絶妙のタイミングで途中経過を支援し、結果を評価することを忘れてはならない。“絶妙のタイミング”とは、人に指示して任せた以上は、事細かに口出しをせず、早過ぎもせず、遅過ぎもせず、を直観的に判断しなければならない。事前に定期的にミーティングすることを約束しておくことも良い手である。

指示されるのを待っている

  • “指示されるのを待っている”とは
    • “指示されるのを待っている”という指示待ち族の存在は、は古くからある問題である。
    • 日本的経営の美点は、察し(おしはかること。おもいやること。広辞苑第六版)であり、心遣い(人のためを思っていろいろ気をつかうこと。広辞苑第六版)である。
  • “指示されるのを待っている” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • “他人の事には関心を持たない”ことの問題と同様に、以下の問題が想定される。
      • 自分の範囲だけで問題を解決していれば済むなら、個人の能力を高めさえすれば良い。しかし、社会や市場の変化の兆候に対して、組織として先んじて対処していくためには、色々な専門を持つ人々が知恵を出し合い、発見されていない答えを見出していかなければならない。
      • “指示されるていないことでも、お互いに心遣いを持って”行動することが企業の付加価値となり、それが競争優位性となる。
      • 一人ひとりが“自分だけが成果をあげれば良い”と思って行動する企業は、競争優位となる価値を見出すことなく、勢いを失っていく。
    • “指示されるのを待っている”ことが染みついた組織には活力がない。活力を失った組織には価値を自ら創造することもなく、競争優位性を失っていく。ひいては、企業の存続が危うくなる。
  • “言指示されるのを待っている”理由
    • “指示されるのを待っている”は、自ら考える必要もなく、責任を取る必要もないから、楽な働き方である。
    • 教科書の詰め込み教育、ゆとり教育の結果として、“自ら問題を発見する習慣”“自ら考えて解決する習慣”が身についていない。また、そのための能力も鍛えられていない。
    • 成果主義の導入により、自分の決められた成果さえ達成すれば良いという人達が増えて、全体としての風潮にもなってきた。
  • 役割となすべき仕事を自ら創り出しているか日常的に皆で確認し合う
    • 何故、役割となすべき仕事を自ら創り出しているか日常的に皆で確認し合うのか
      • “役割となすべき仕事を自ら創り出すことを習慣にする”ために、以下の様な風潮を改めていく。
        • 昨今、“指示待ち族”という言葉が広がっているように、指示されるのを待っている人を多く見かける。こうした人達は昔から見うけられていたが、新人ならともかく、中堅になってもそうした行動をする人が増えたとしたら問題である。
        • 成果主義が導入され、担当者としては、コミットしたことだけに集中し、それ以外は指示され同意しなければやらないといった風潮が蔓延し、上司の管理者も、コミットしたこと以外は勝手にやってはいけないと指導してしまう。
        • 雇用形態の多様化により、作業内容が契約によって決められている場合もある。リストラ(人員削減)によって、人員不足から現場管理者や現場担当者に過負荷がかかっている場合もあり、指示されたこと以外には手が回らないという場合もある。
      • 社会、市場、顧客ニーズが多様に変化する現在にあって、当初から事細かに指示することはできない。一人ひとりの、内発する自律的な行動が、より一層求められる時代になってきている。
      • 変化に適応し、変化を創り出し、顧客のニーズに事細かに対応する付加価値は、一人ひとりが目の前の状況に合わせ、その先の将来を見据えて“役割となすべき仕事を自ら創り出す”ことによって実現される。
    • 如何に、役割となすべき仕事を自ら創り出しているか日常的に皆で確認し合うか
      • 成果主義の導入に際しては、自発的な行動を緩やかに評価する項目を盛り込めるようにしておくことが大事である。
      • 自ら行動する提案制度を導入して、一人ひとりの思いをしっかり聞き、自らの役割と仕事を明確にし、実施に向けては支援することで、“役割となすべき仕事を自ら創り出す”組織文化を育むことができる。
      • 現場の状況判断で自ら進んで行ったことについては批判せず、良い点は組織内に広げ、悪い点については組織の問題として改善点し共有することで、こうした自発的活動を組織の中に取り込んでいくことが可能になる。

組織の壁を越えようとしない

  • “組織の壁を越えようとしない”とは
    • 組織には、部門の壁、グループ企業間の壁、他の企業との壁がある。
    • 組織の中にいても、人が自立してくると、自ずとその殻を破って外に出て行く、すなわち、組織の壁を越えていこうとするものである。
    • しかし、“出る杭は打たれる”から自らは外に出ない、“ことなかれ主義”で、組織の中にとどまって安穏としていようという人達がいる。
  • “組織の壁を越えようとしない” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 多様な生き方や価値観を求める時代に、画一した規格品さえ作っていれば良いという昔ながらのやり方は通用しなくなってきた。今や、多様性を実現するために、組織の殻を破って、様々な専門性を持つ人達との協業が求められている。
    • 多様性を実現できなければ競争力を失う。ひいては、企業の存続を危うくする。
  • “組織の壁を越えようとしない”理由
    • 外部との折衝は自分の役割ではないと思って何もしない。
    • 自ら実現したいと思っている仕事がない。また、外部の人達と折衝してまでも実現しようという情熱(パッション)がない。
    • 自分に自信がない。組織の中で通じる言葉や考え方がある。また、組織の中で教えられたこと以外に知識がなく、自らの考えも形成されていない。組織の殻を破って外に出て自分の考えとして主張するだけの素材も、素養も、勇気がない。
    • 会社を代弁する顔になりたくない。また、上司も、部下が外で下手なことを言われたくないから外に出させない。
    • 組織に蓄積された知見の流出を怖れて、また、それを口実にして、組織内の問題が外に漏れ出るのを隠蔽しようとして、部下を外に出させない。
  • 組織の枠を越えた行動の背中を押す
    • 何故、組織の枠を越えた行動の背中を押すのか
      • 全体感を持って大局的を見て行動する人は、自ずと組織の枠を越えて考え行動し始める。
      • “組織の枠”とは、部門の枠、企業の枠、その企業が属する業界団体の枠、専門分野の枠であったりする。そこには共通に理解できる言葉、暗黙の共通認識、共通の思考方法、知見の範囲や水準があり、これを越えることに壁がああることを認識する。
      • そうした壁を乗り越えることのできる人は、組織の文化や知見を外部に広げて知名度を上げるための媒体にもなり、外部の知見を取り込んでくるセンサーにもなり得る。組織の付加価値を高める貴重な存在である。
    • 如何に、組織の枠を越えた行動の背中を押すか
      • “組織の枠を越えて行動する”人達の背中を押してあげなければならない。
        • “組織の枠を越えて行動する”活動を、組織の統制が乱れると言って批判したり、邪魔したりしない。
        • 組織の枠を越えた行動を励まして積極的に支え、陰に陽に手助けする。
        • 組織の枠を越えた人達との人脈を広げるに勇気が必要である。気後れせずに組織
      • 組織の枠を越えた人達と積極的に交流するために、また、知見を共有するための仕組みが必要である。
        • 部門を越えた情報共有、部門を越えた人脈構築のための緩いネットワークを作れる仕組みを構築する。
        • 公的情報、流通する情報以外に、ソーシャルネットワーク上の様々な情報をクロールして、より多くの見方による情報を活用する仕組みを取り入れる。
        • 企業内の知見を探索し、また、企業外で獲得した知見を共有できるように、社内データを一元化して、オープンに閲覧出来るようにする。

長いものには巻かれよ

  • “長いものには巻かれよ”とは
    • 組織は、お金の采配(指揮をする。指図する。広辞苑第六版)を振るう人、人事権を持っている人の下で動くものである。“長いものには巻かれよ” (目上の人や勢力のある人には争うより従っている方が得である。広辞苑第六版)とは、こうした権力のある者になびいていれば良いという行動である。
  • “長いものには巻かれよ” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 組織には、勢いのある事業に絡みついたパワーストラクチャ(権力構造)がある。しかし、勢いのある既存事業も、社会や市場の変化に中で、やがては廃れてくる。
    • 誰もが“長いものには巻かれて”現状のパワーストラクチャにすがっていると、その組織は競争力を失い、ひいては企業の存続も危うくなる。
  • “長いものには巻かれよ”理由
    • 新たな発想ができない人にとっては“長いものには巻かれよ”でいることが一番楽である。
    • 権威のある人、経験のある人が言うのだから間違いない。その人の言うことを信奉(ある思想・教理などを信じ尊ぶこと。広辞苑第六版)していれば安心して過ごせる。
    • 既存事業のパワーストラクチャがある中で“現状のままでは駄目だ”とは言い難い。更には、自らの立場を危うくする。“長い物には巻かれよ”であることにしておけば安泰(やすらかなこと。無事なこと。広辞苑第六版)である。
  • 組織の輪を保ち、自分なりの軸を持つ人が抜擢される組織にする
    • 何故、組織の輪を保ち、自分なりの軸を持つ人が抜擢される組織にするのか
      • “自分なりの軸を持つ”とは、如何なる状況にあってもぶれることのない判断基準を持つことである。
      • 優秀な組織には、苦言の言える人達が参画しているものである。
      • 例え、“自分なりの軸” を持っていても、自己主張ばかりする人は組織の輪を乱す。“組織の輪を保つ”器量、人柄の人の存在は大きい。
      • 多様に変化する社会、市場、顧客ニーズを捉えて変化に適応し、変化を創造し、付加価値を提供していくためには、多様な人生観、多様な専門性や知見のある人達が、自発的に自律して行動して行かなければ実現できない。そうした状況にあっては、「長いものには巻かれよ」「ツルの一声」で決まる組織は脆弱である。
        • 「長いものには巻かれよ」「ツルの一声」で動く組織では、権限のある人の顔色を伺って動くようになり、企業の価値は低下する。
        • 目の前で状況が変化しても、優柔不断(ぐずぐずして物事の決断のにぶいこと:広辞苑第六版)になる。
        • 風見鶏(定見を持たず大勢の動向にすぐ順応する人:広辞苑第六版)のように自ら率先しては何も決めない人達の組織になってしまう。
        • “Yes man”は、組織にとっては不要であり、百害あって一利なしである。
        • 成果主義の導入によって、組織の短期的な業績を確保するために成果をコミットし、成果を上げるだけの行動しかしなくなることで、組織の中に“Yes man”ばかりが増殖される。
    • 如何に、組織の輪を保ち、自分なりの軸を持つ人が抜擢される組織にするか
      • “自分なりの軸を持つ”人を育む
        • “自分なりの軸を持つ”ことは一日にしてはならず、長年の人生経験を積み上げた中から次第に定まってくるものである。
        • “目的を自ら考える”“役割となすべき仕事を自ら創り出す”という経験の中で、様々な試行錯誤を繰り返すことで身に付いてくる。
        • とりわけ、“組織の枠を越えて行動する”することで、他流試合を積んで世渡りの仕方や勝負強さを身に付け、また、外部に視野を広げて知見を吸収することで、客観的な見方やバランス感覚を持って判断出来るようになる。
      • 経営者自らが、「長いものには巻かれよ」「ツルの一声」で決まる組織になっていないか、自らが、“自分なりの軸を持つ”組織文化を阻害していないか振り返ることも必要である。“組織の輪を保ち、自分なりの軸を持つ人が抜擢される組織にする”ことを心掛けなければならない。


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