プロセス改革力

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形成しているプロセス改革力の有無とその論点、
競争力のあるプロセス改革力を組織の形成、及び、変動要因

もし、プロセス改革力が弱いとすれば、それはどういうことか

納期精度が低く遅延が多発している

  • “納期遅延” を捉える視点
    • “納期” は納入期限のことであり、物品販売では注文された物品を納入する期限、請負業務では全ての工程における作業を完了する期限であり、“納期遅延” とは、左記期限に間に合わないことを言う。
    • “納期” は、多くの場合、契約書、若しくは、注文書に明記(規定)されるが、納期の決定に際しては、受注側と発注側の協議により定められる。
  • “納期精度が低く遅延が多発している” の論点(捉え方の軸と筋道)
    • “納期遅延” は、直接的には、顧客は得られる利便性が享受できない(損害が発生する)、提供者は工数オーバー等によるコスト超過が考えられる。そしてその結果、顧客からの信用の失墜、リピート販売の機会喪失につながる。提供側の組織内部に対しても、遅延対策に工数を奪われる、生産計画に影響がでる、他のプロジェクトが開始できない等の副次的な問題が発生する。
    • “納期遅延” の原因としては、以下が想定される
      • 納期の見積りが甘い、若しくは、工数が過小に見積もられていた
      • 必要なスキルを持った人の確保、若しくは、設備の確保ができなかった
      • 設備の事故、その復旧に時間がかかり遅れた
      • 原材料の入荷が遅れた、若しくは、原材料の品質が安定せず必要なだけの数量の確保に手間取った
      • 工程内で不具合が多く検出された、若しくは、不具合の修正に手間取った
      • 要件変更が発生し、作り直しや手戻り、織り込みに時間がかかった
      • 設計仕様の変更があり、作り直しや手戻り、織り込みに時間がかかった
    • “納期精度が低く遅延が多発している” は、上記の幾つかの要因が絡み合って多発していると想定される。その直接的、間接的影響を考えると、抜本的な改善を求める必要がある。

受注調達のプロセスが上手く仕組まれていない

  • “受注調達のプロセス” を捉える視点
  • 受注確定と在庫引当、在庫計上されていない商品の発注、生産投入(生産指図書の発行)と原材料の発注等の一連の流れを “受注調達のプロセス” と捉える。
  • この一連の流れは、営業部門/生産部門/在庫管理部門間の情報連携、伝票処理、受発注の承認プロセスによって構成される。
  • 営業部門/生産部門/在庫管理部門間の情報連携が悪い、伝票処理に時間がかかる、受発注の承認に時間がかかる等の問題が内在している。
  • “受注調達のプロセスが上手く仕組まれていない”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 直接的には、顧客からの要求納期に応じられない、無駄な待ちが発生して回収できないコストが発生する。
    • 対症療法としては、営業部門/生産部門/在庫管理部門間の情報連携の改善、伝票処理の簡素化や自動化、承認プロセスの簡素化や効率化を図る必要がある。
    • 特例としての処置としては、欠品補充にかかるリードタイムを考慮して安全在庫を、余裕をもって設定する、若しくは、受注確度に合わせて発注準備に取りかかる、原材料の供給先にある程度の在庫を抱えておいてもらう等の工夫がなされている。
    • 抜本的には、“受注調達のプロセス” 全体を見渡してクリティカルとなる工程を改善する。その際、過剰在庫が発生しない、無駄な待ちが発生しない、受発注に関わる業務の簡素化と必要な工数の削減(手配に関わるコストの削減)等と改善にかかる工数や期間、改善コストとのバランスを考慮にいれなければならない。

業務間、部門間で滞留する

  • “滞留” を捉える視点
    • “滞留”とは、物事が進展せずに、同じ所にとどまっていること(広辞苑第六版)である。企業全体としてものごとが捗らないときは、モノの滞留、仕事(コト)の滞留、決裁の滞留等を捉えることがポイントである。
  • “業務間、部門間で滞留する”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 直接的には、「業務間、部門間で滞留する」が起きることで、組織全体としての効率性が阻害され、販売機会を逃す、待ち時間等の不要なコストが発生する、納期遅延、顧客からの信用の失墜、販売機会ロス、顧客の離反等にもつながる。
    • 「業務間、部門間で滞留する」を放置したままにすると、組織全体としての効率追求の士気低下にもつながる。「業務間、部門間で滞留する」を放置すること自体に、問題解決に対する経営管理上の“滞留”が起きていることを意味する。

多種変量生産が重荷になっている

  • “多種変量生産” を捉える視点
    • これまでの生産方式では「ライン生産」「ロット生産」「個別生産」がある。とりわけ、「ライン生産」では、大量生産大量消費の製品を生産し続けるので少品種大量生産となる。「ロット生産」では、一定のロット単位で一つの品種を生産し、その生産が完了すると別の品種の生産を行う。「個別生産」は多品種少量生産を行う生産方式である。
    • 最近は、一人ひとりのニーズに合わせて製品を多様化させる必要があり、従来の大量生産大量消費の製品でありながら、様々な生産量を多種変量生産して対応することが求められる様になってきている。
  • “多種変量生産が重荷になっている”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 直接的には、頻繁なラインの切り替えは、生産効率の低下、原価高につながる。市場の変化への対応、顧客の多様なニーズへの対応が求められる一方、生産側では、多種変量生産が重荷になって、経営を圧迫しかねない。
    • プラットフォーム化戦略は「多種変量生産が重荷になっている」を解決する上で有効な手段である。基本部分は共通化(プラットフォーム化)しておいて、最終製品生産段階でオプションとして追加対応することで負荷軽減を図ることは可能である。最終製品をプラットフォームだけにして、在庫出荷時点、更には、店頭販売時点でオプションを追加する等も有効な回避策である。
    • 食品産業では、食料危機への意識高揚から「小分け販売」のニーズが高まっている。「小分け」作業を流通加工とするか、店頭での量り売りにするか、食品製造段階でたくさんの「小分け商品」のラインナップを揃えるか、負荷の負担とコスト負担の問題として捉えて解決する必要がある。

不良が増加しバラツキが多い

  • “不良”“バラツキ” を捉える視点
    • “不良” とは、設計、原材料仕入、製造、輸送工程の不具合で所定の機能を発揮しない、また、動作不良を起こすことである。
    • バラツキ”とは、測定した数値などが平均値や標準値の前後に不規則に分布すること。また、ふぞろいの程度(広辞苑第六版)のことである。
    • “不良”の発生数(発生頻度)が増加傾向にある、また、一定レベルを超えた場合に問題となるが、“バラツキ”が多い場合にも、何らかの攪乱要因があると見て捉える必要がある。
  • “不良が増加しバラツキが多い”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 直接的には、納期遅延、コスト高の原因となり、顧客からの信用の失墜、販売機会ロス、顧客の離反等にもつながる。
    • 原材料に問題があるのか、手順そのものに問題があるのか、設備に問題があるのか、作業員の習熟度に問題があるのか等を速やかに見極めて対処する必要がある。

標準化が遅れて不均質となっている

  • “標準化”を捉える視点
    • “標準化”とは、工業製品などの品質・形状・寸法を標準に従って統一すること。これによって互換性を高めること(広辞苑第六版)である。業務の手順や書式、製品の仕様やインターフェース、部品の構造や形式等を同じものに統一することであると捉える。
    • 標準化をすることで、製品間、企業間での共通化が図られ、様々な企業の間で同じ仕組みが採用されることをデファクトスタンダード(事実上の標準)という。デファクトスタンダードを採用していれば、顧客はどの企業の製品であっても、様々なオプション品やサプライ品等を互換性を持って使用することができる。
    • “標準化”は、品質の判断基準、所要工数、コストについても規定される必要がある。
  • “標準化が遅れて不均質となっている”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 業務プロセスの標準化をしないと、その時々の状況や一人ひとりのやり方に拠って処理されることになり色々なものができてしまう。
    • 部品の標準化をしないと、様々な部品が使われることになり、まとめ買いによる値引きができず、また、管理コストも跳ね上がってしまう。補修が必要となれば、準備しておかなければならない部品の種類は際限なく広がり現場は混乱してしまう。
    • 製品の標準化をしないと、品種が膨大に増えてしまう。都度生産となって原価が跳ね上がってしまう。

無理・無駄が多い、省力化の余地がある

  • “ムリ・ムダ・ムラ”“省力化” を捉える視点
    • “ムリ”は負荷が能力を上回っている状況、“ムダ”は能力が負荷を上回っている状況、“ムラ”はこれらが混在し、状況に応じて一定していない状況である(トヨタ生産方式)。
    • 一方で過負荷が生じており、もう一方では能力が余っているなら、負荷分散をして全体としての負荷を下げることができる。結果的に、新たな能力の増強に拠らず、現有の能力全体としての負荷低減、即ち、“省力化”(手間や労力を少なくすること:広辞苑第六版)につながる。
  • “無理・無駄が多い、省力化の余地がある”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 直接的には、過負荷の工程がボトルネックとなり全体の足を引っ張ることになる。納期の長大化の原因、納期遅延の原因となり、コスト高、顧客からの信用の失墜、販売機会ロス、顧客の離反等にもつながる。
    • 過負荷の解消だけの視点であれば、新たな設備投資や増員が必要となる。“ムリ・ムダ・ムラ”の視点から、現有能力の範囲で工夫して解消することを考える必要がある。
    • 多くの場合、優先度をつけることで過負荷を解消することができる。しかし、そればかりでなく、作業を他者でも分担できるように小分けにして、分業化を図ることで過負荷を解消することができる。

作業がボトルネックの工程に集中し停滞している

  • “ボトルネック” を捉える視点
    • “ボトルネック”とは、支障となるもの。障害。隘路のこと(広辞苑第六版)のこと。クリティカルパス(全体工程の内、余裕のない一連の工程)上のボトルネックを捉えて重点的に対応すべきである。
    • 安定して計画通りに進んでいる場合よりも、特急品への対応、不具合の発生により停止、設計変更による手戻り等、非定常的な攪乱要因が発生した場合は、その時の状況に応じて、その時点でのボトルネックを見つけて素早く対処することが必要である。
  • “作業がボトルネックの工程に集中し停滞している”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 直接的には、納期の長大化の原因、納期遅延の原因となり、コスト高、顧客からの信用の失墜、販売機会ロス、顧客の離反等にもつながる。
    • 「作業がボトルネックの工程に集中し停滞している」という問題が、クリティカルパス内、ある工程内、業務間連携、部門観連携、決裁、管理者の問題解決能力のどこにあるかを速やかに見極めて対処しなければならない。
    • 多くの場合、優先度をつけることでボトルネックを解消することができる。しかし、そればかりでなく、作業を他者でも分担できるように小分けにして、分業化を図ることでボトルネックを解消することができる。

在庫水準が規定されていない

  • “在庫水準” を捉える視点
    • “水準”とは、物事の価値や作用などに関する一定の標準(広辞苑第六版)のことである。“在庫水準”は、在庫量として捉える場合が多いが、企業にとって適正な在庫量を指して“在庫水準”を管理することになる。
  • “在庫水準が規定されていない”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 直接的には、「在庫水準が規定されていない」ことで、過剰在庫、滞留在庫等を引き起こし、最悪の場合、資金繰りの悪化による経営危機、黒字倒産等にもつながる。
    • 「在庫水準が規定されていない」には色々と程度の差がある。
      • そもそも在庫水準に対する規定自体が存在しない場合は速やかに業務遂行基準の整備を図るべきである。
      • 在庫水準の規定が勘と経験に頼っている場合は簡易的にでも速やかに科学的管理手法の導入を図るべきである。
      • 経営上重要で影響の大きい商品に対する在庫水準の管理が不充分であるならその商品に関する管理の強化を図るべきである。
    • “個別最適”の問題と関連し、“在庫水準”に対する規定を定めることは、重要な経営課題である。

在庫品揃えと数量が勘と経験に拠っている

  • “在庫品揃え” を捉える視点
    • “品揃え”とは、販売のため、多種類の商品を用意しておくこと(広辞苑第六版)である。“在庫品揃え”は、定番商品(季節等に関わりなく売れる商品で、在庫として常備している)、売れ筋商品(その市場でその時代に人気のある商品。在庫管理をする上では、商品カテゴリーの中で売れ行きの良い商品を指す)、死に筋商品(その市場でその時代に人気のなくなった商品。在庫管理をする上では、商品カテゴリーの中で売れ行きの悪い商品を指す)、売れない商品、回転の悪い商品等をどの様に捉えて在庫として持つかがポイントとなる。
  • “在庫品揃えと数量が勘と経験に拠っている”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 直接的には、「在庫品揃えと数量」を見誤ると、売上の減少、滞留在庫の発生、顧客の離反につながる。
    • 定番商品、売れ筋商品、死に筋商品、売れない商品、回転の悪い商品等とはどの様な状況になりつつある商品なのかを定量的に規定し、速やかに商品の入替を図る必要がある。
    • 定番商品、売れ筋商品については、常に、在庫水準の規定をきめ細かく管理する必要がある。

安全在庫基準が規定/見直されていない

  • “安全在庫” を捉える視点
    • “安全在庫”とは、様々な環境変化による需要の増減に対し、供給にかかる期間においても欠品を起こすことのない、過剰在庫とならない安全を見越した余分の在庫のことである。商品の特性、売れ行きの状況に応じて捉えて管理することが必要である。
    • “適正在庫”は“適正な在庫水準(在庫量)”のことであり、“安全在庫”は安全を見越した“余分の在庫”のことである。
    • 在庫管理の発注方式(主に、定期発注点方式と定量発注点方式)において使われる指標である。夫々の方式で“安全在庫”の算出式が異なる。
  • “安全在庫基準が規定/見直されていない”の論点(捉え方の軸と筋道)
    • 直接的には、「安全在庫基準が規定/見直されていない」ことで、欠品の発生、販売機会ロス、顧客の離反につながる。
    • 「安全在庫基準が規定/見直されていない」にも程度の差がある。「在庫品揃え」と同様に定番商品、売れ筋商品については、常に、在庫水準の規定をきめ細かく管理する必要がある。


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