『企業の皆様へ』でも触れましたが、今、社会で起きているパラダイムシフトは、サステナブルに向かう価値意識の変容であると言えます。このことは、様々な視点での社会的課題に対する関心が高まり、サステナブルへの取り組みが企業ブランドの構築にとって欠かせない存在となってきていることからも見て取ることができます。これからの社会で果たすべき企業の役割は、利潤の追求ばかりでなく、社会の持続可能な発展を実現させていくことであり、そうした活動を通して企業が自らの社会的価値を確立して社会に受け容れられる存在となり、企業も持続可能な成長を成し遂げていくことであると言えます。そして、こうした社会の趨勢を捉えてコンサルタントも、以下の2点を踏まえて取り組んでいくことが求められています。
- ・社会の持続可能な発展
- ・企業の持続可能な成長
ここで、「サステナブル(持続可能な :“Sustainable” )」というキーワードを使っていますが、これからの時代に求められるこの言葉の概念をきちんと整理しておく必要もあり、企業に対してコンサルテーションを行う上でも大事なことと思います。そこで、まずは歴史的にこの概念形成の系譜を辿ってみることにします。
「サステナブル(持続可能な :“Sustainable” )」の原点は、ブルントラント報告にある “Sustainable development” であると言われています。そして、「ISO26000」(2010.11.1)では、この “Sustainable development” を「地球の生態的制限の範囲内で生活し、未来の世代の人々が自らのニーズを満たす能力を危険にさらすことなく、社会のニーズを満たすことである」と定義しています。
そこで、こうした概念形成の系譜を踏まえて、弊社では、「サステナブル(持続可能な :“Sustainable” )」 を、下記のように定義します。
今、私達が求める豊かな暮らしだけでなく、将来の世代の人達も、その一人ひとりが求める豊かな暮らしを築いていけること
この「サステナブル(持続可能な :“Sustainable” )」の定義に基づいて「社会の持続可能な発展」の意味を吟味してみますと、それは 『一人ひとりが将来への夢を持って、いきいきと生きていける社会』 となります。(「企業の持続可能な成長」については『企業の皆様へ』のページにある『これからの企業経営のデザインコンセプト』の記載をご覧下さい。)
これまで記してきましたように、これからの企業は「社会の持続可能な発展」に想いを巡らしていかなければ社会に企業としての存在を受け容れてはもらえない、すなわち、「社会の持続可能な発展」への想いに基づく活動があってこそ、企業としてのブランド価値が生まれ、「企業の持続可能な成長」を成し遂げていくことができると考えられます。
しかし、理念としての「社会の持続可能な発展」ばかり唱えていても、収益を産み出すビジネスとして確立されなければ「企業の持続可能な成長」にはつながりません。例え崇高な想いがあってもそれが現実のビジネスで実現できなければ企業そのものの存在が危うくなってしまいます。当然のことながら、「社会の持続可能な発展」もおぼつかないものとなってしまいます。これからの時代、21世紀の社会においては、企業には、まさに、社会の持続可能な発展」と「持続可能な成長」の両立した追求が求められると言えます。