ことづくりのサービスの創造

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日本では少子超高齢化が進展し、人口減少社会へと突入した。20世紀型の大量生産・大量販売・大量消費による高度経済成長の時代は終息し、将来や老後の生活を心配して、日々の生活必需品はより安く(デフレマインド)、不要になったものは廃棄せずにフリーマーケットで売りに出し(シェアリングエコノミー)、大事なライフイベント(晴れの日)や自分らしく生きること、心を豊かにしてくれることにだけは多少の贅沢をする(マスカスタマイゼーション)という心理が浸透し社会に定着してきた。 人々は、SNSによってマスメディアに頼ることなく多くの情報を手に入れることができ、VR技術によって、そこに行かなくても疑似的に体験することも可能となってきた。ロボットや人工知能技術が職場や家事の現場に活かされることで、辛い肉体を使う作業や非効率な知的業務を肩代わりさせることで、人々は時間や場所に拘束される労働からも解放されていく。 しかし、実世界で、自然に触れ、文化に触れる感動には、仮想世界のものには代えられない価値がある。それは、自分の感性を豊かにしてくれるという価値でもある。確かに、経済的に裕福であれば、欲しいものを買うこともでき、体験したいことを実際に体験することもできる。しかし、感性を磨くことや心を磨く知性はお金では買うことはできない。 シンギュラリティという言葉が広がるこれからの“知”の時代にあっては、感性を磨き、心を磨きうる知性を養う「こと」のクオリティが求められる。


【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. IoT、ロボットや人工知能技術は、職場、及び、社会生活への適用の場を増やしつつある。ロボットや人工知能技術が進化しシンギュラリティ(技術的特異点)に到達する。ロボットや人工知能と共生することにより生産性が高まっていく。
  2. 個人主義の枠組みを超えて、人権が重視され個人が自立し自己の実現を求めて自律していく社会となる。人の担うべき役割は創造性が求められる仕事へと移っていく。特に、日本人の生活は仕事を中心にまわしていくものに固定概念化されてきた。21世紀型の経営においては、経済合理性の発想によらず、ウェルビーイング、クオリティオブライフの発想に根差した産業への転換を図っていくことになる。
  3. 20世紀型の大量生産、大量販売、大量消費のモデルは、21世紀型の経営においては通用しなくなり、マスカスタマイゼーションの仕組みが求められる様になり、顧客と協創しながらことづくりをしていくサービスを創造していかなければならなくなる。
  4. 21世紀型の経営においては、社会の多様なニーズに応えていくために、また、個々夫々に関わりのある様々な社会的課題を多様な視点を持っている人達が解決していくことになる。企業も社会の一員として事業を通して社会的課題の解決を図っていかなければならない。
  5. 21世紀型の経営において、プロダクトの経済性は、①未来社会に向けた差別化価値(既存と異なる優位性)、②STP/MM/PL(Product Life cycle)、③要素技術の進化の過程とロードマップ、④ビジネスフィージビリティによって評価される。
  6. 21世紀型の経営において、プロダクトによる経済効果は、①公益的な利益、②社会的課題を放置することによって生じる経済的損失、③経済的損失の回避額、④経済的損失の低減額、⑤経済的損失の移転に必要な費用と低減額、により総合的に評価される。

【未来における社会的価値の創造】

  1. 人が担うべき仕事とロボットや人工知能が担うべき仕事の役割分担によって、時間や場所に拘束される仕事に追われる日々から解放され、より時間的にゆとりのある生活を送くれるようになる。人はより自分らしく自己実現に結びつく仕事、更には、自己を超越して他者や自然環境とも一体となり、社会の発展に結びつく仕事に集中できるようになる。
  2. ロボットや人工知能が担うべき仕事の役割分担をすることで生産性が向上する。経済合理性の発想によらず、ウェルビーイング、クオリティオブライフの発想に根差した産業への転換を図っていく様になる。人に求められるのは創造的な仕事となる。マスカスタマイゼーションの仕組みを構築し、顧客と協創しながらことづくりをするサービスを創造していくためには、新たな発想での組織や人の行動のケイパビリティを高めていく必要である。
  3. 組織や人の行動のケイパビリティを高めるには、①組織(チーム)が持つスタティックケイパビリティとダイナミックケイパビリティ、②個人の能力、③働き方の環境(物理的な環境、設備、人間関係、人事評価制度)、④社会環境を整えていかなければならない。
  4. マスカスタマイゼーションの仕組みを構築し、顧客と協創しながらことづくりをしていくサービスを創造する組織や人の行動のケイパビリティを高めるには、①個々の顧客に共感して思考できる能力、②顧客と協創していく組織(チーム)のスタティックケイパビリティとダイナミックケイパビリティ、③協創してくためのシステム(業務システム)、協創するシステムの運用を支援するシステム、顧客との協創を支援するロボットや人工知能が装備されていなければならない。


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