#66 AI(人工知能)をサステナブル経営に活かす (6) 人工知能の経営への活用を如何に実現方法するか

AI、とりわけ、Deep Learningに相当する技術をどの様に確立して適用したら、企業経営の[意思決定]に有効に活用することができるかという命題について考えてみることにします。

 企業経営のこととは言え、何よりも大事なことは、ものごとを社会全体の視点から捉えるということです。そのためには、捉えるべき変数も、企業内部で取り得るものだけではなく、企業の外部との関わりで捉える様に体系を見直す必要があります。とは言え、はじめから体系を考えることは難しいかも知れません。学習を深めていく段階で、内容を精査し、変数を創造していく方が現実的ともと思われます。

 また、企業経営における[意思決定]の本質に関わる問題ともなりますが、ゴールの設定、ルールの設定の仕方についても、根本的に見直さなければならないと考えられます。
 囲碁で例えるなら、囲碁での戦局を捉えて勝つための打ち手を考える以前に、勝ちとは何かを自ら定義しなければならず、更には、新たな囲碁のルールを創造しなければなりません。

 そしてその上で、“根本原理を創造する知恵” を適時に適切に自ら創り出していくこと(アブダクションに相当)が必要と考えられます。
どんなに著名な経営理論であっても、企業経営に関する経験知の全てを詳らかにしている訳ではありません。この分野こそがDeep Learningの得意分野であるとも考えられます。

 しかし、[経営]の現場では、瞬間々々に、次々に降りかかってくる様々な課題に対して、取り得る手段の選択肢の中から、声高な利害関係者にとって最も都合の良い内容での[意思決定]が繰り返され(恣意的に評価された内容に偏ってしまう)、かつ、その連続と積み重ね、組織内部で起きるコンフリクトの調整、競合企業との手の打ち合いの結果として、成功、若しくは、失敗へとつながっていきます。
 個々の打ち手は、企業の内外から集めた情報の値を数理モデルで処理して導き出すことができるかも知れませんし、著名な経営理論や定性的に表現された経験知を用いてどんな[意思決定]をすべきかの論拠としたりすることができます。しかし、先に記した様に、理論や経験知、数理モデル自体、普遍的なものではありません。
また、多くの[意思決定]に関する知恵は、言葉では表現しえない暗黙知だったりします。しかも、そこにこそ最も重要な知恵が隠されている場合が多いとも推測されます。何を、どの様に、知識を定型化して学習できるようにしたら良いかを考えなければなりません。

 人工知能(AI)を用いた場合、組織の中で、目的を民主的に共有すること、事実に対する意味を形成すること、[意思決定]のプロセスを透明化することは難しいと考えられます。

※[経営][意思決定]等は[思考]という視点で捉えているという意味を持たせて、[ ]をつけて記しています。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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