1.経済環境の変化や兆しを捉える
大局的に、長期的にグローバル全体として経済動向を捉えておくことが必要である。特に、経済的な環境変化を先取りするという視点で真っ先に思い浮かべることは、為替相場が国内外の販売にどう影響するかである。長期的にグローバル全体として経済動向を背景として、現在の日本と海外の経済動向の関係で為替相場を捉えておかなければならない。グローバル経済化した現在の経済環境においては、製品の輸出に頼っている企業の収益への為替相場の影響、原材料を輸入に頼っている企業の原価への為替相場の影響を考えておくことが求められる。
しかし、マクロな視点で経済環境を捉えているだけでは手遅れになる。大事なことは、足下の経済動向を捉えて打つべき戦略を考えることである。
- 自分の属する業界の景況観
- 顧客企業やその関係先の属する業界の景況観
- 街場の景況観
一方、様々に打つべき戦略を考えるにしても、自社の財務状況がどうであるかを冷静に捉えて判断することが必要である。
- 売上、利益、キャッシュフロー、内部留保
- 売上高成長率、営業利益率、経常利益率、総資産回転率、自己資本比率、有利子負債比率
- 売上高/人、営業利益額/人
2.データから読み解く経済環境の変化と経営資源を集中する上での論点
(1) 投資回転率を上げることに集中する
様々な景気変動の全ての時点で、売上を伸ばし続けさえすれば良い、企業規模を大きくしさえすれば良いという発想だけでは不充分である。特に、不況の時期には、どんなに経営資源を投入しても、好景気の時ほどには売上は伸びない。むしろ、積極的な設備投資、在庫投資が裏目にでて不良債権化することさもありうる。自社の財政状況も勘案して、まずは投資回転率を上げることに集中し、余計なコストを削減して事業に投資した資金の回収を図り経営の健全化を図ることの方が重要である。
(2) サステナブル経営(サステナブルマネジメント)を実現する
#29 将来の成長分野に経営資源を集中する でも記した様に、売上を伸ばし続けさえすれば良い、企業規模を大きくしさえすれば良いという発想だけではなく、成熟化し激変する社会、多様化する社会にあっては、組織としてのしなやかさ(アジリティ)を維持し続けること、社会の求めるイメージに合わせて新陳代謝していくこと、社会の変化に合わせて変容していくという発想がより一層強く求められていく。成熟化した社会にあっては、サステナブル経営(サステナブルマネジメント)の実現こそが求められる変革の本質である。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役 池邊純一