当コラムでは、これまで「社会の趨勢」「社会発展の方向性」「社会的価値」について様々なアングルから分析してきました。
本コラムでは、さらに、「SDGs 17目標」を加えて、これらの間にある関係性の強さを分析することにしま夫々
全体として関係性の高い「社会発展の方向性」
下図は「社会発展の方向性」の20個の類型のそれぞれについて、「社会の趨勢」の23個の類型、「社会的価値」の14個のカテゴリー、「SDGs」の17目標との間にある関係性の強さを[①関係しない、②軽微な関係で影響は受けない、③関係性はあるが影響は小さい、④強い関係があり影響を受ける、⑤極めて強い関係があり強い影響を受ける]の5段階で評価した結果を積み上げたものです(評価にはChatGPTを使用しています)。
上図が示すように、「社会発展の方向性」の20個の類型のうち、関係性の強度を積み上げた数値が高いものは「人権重視の経済社会化」「社会の社会化問題からの解放」「既成の枠組みが崩壊した社会の再生」「スマート社会化」「多様性と包摂の公正で寛容な社会化」です。
「社会発展の方向性」と「社会的価値」の関係性
下表は、評価結果の内訳をまとめたものです。
このうち「社会的価値」との関係性が強いのは、(1) スマート社会化(ものの顕在価値の消費よりも、それによって経験価値の消費が重視される。それは、顧客経験価値だけでなく、 従業員経験価値、ステークホルダー経験価値とも融合し、これらが複合的に満たされるものである)、および、(2)人権重視の経済社会化(個々人の生き方に密着した経験価値の消費、ストーリーの消費)、グリーン消費、エシカル消費など、個々人や社会のアイデンティティを実現しうる経済システム)の2つです。
(1) スマート社会化と(2)人権重視の経済社会化と関係性の強い「社会的価値」は、[1] 経済発展{社会変革イノベーション、ビジネスモデルの創造、市場の創造・需要の創造、経済格差の解消、雇用機会の創出、資金調達(投資呼び込み)、持続可能性の経済(廃棄しない経済、循環経済、所有しない経済、エシカル経済(消費)、グリーン経済(消費))}、[8] 仕事の創造 {Decent Workの創造(3K労働の軽減、事細かな規定の厳格化(逆機能))、新たなジャンルの創造、新たな働き方の創造(複業・副業、ワークライフバランス、リモートワーク)、新たな職種の創造(新スキル・キャリアの創造)、地域雇用の創造}、[10] 良き人生の実現に向けた支援{自立した生活・自律した生き方、子育て支援、教育の充実、経験価値・感動体験の創造、Well-being(将来不安の解消、働き甲斐の創造、自己実現、生きる目的の実現)、健康経営、Quality of Life(医療・福祉・介護の充実、健康寿命の延伸)}の3つのカテゴリーが「社会的価値」を高める取組みであることが分かります。
関係の強い「社会の趨勢」
上記3つの社会的価値(等価の社会的機能)と関係性の強い「社会の趨勢」は、再生可能エネルギーへのシフト、デジタルデバイドによる社会格差/経済格差(逆機能)、AI化/ロボット化による労働市場の構造変化です。
関係の強い「SDGs 17目標」
また、これらと「SDGsの目標」との間で関係性が強いのは、目標17(パートナーシップで目標を達成)、および、目標3(すべての人に健康と福祉を)目標8(働きがいのある人間らしい雇用を)、目標10(人や国の不平等をなくそう)です。
戦略的に優先すべき取り組み
- 「再生可能エネルギーへのシフト」「AI化/ロボット化による労働市場の構造変化」を捉えつつ、「デジタルデバイドによる社会格差/経済格差(逆機能)」に留意しながら、社会の趨勢の勢いに乗って取り組んでいく
- 社会発展の方向性「スマート社会化」「人権重視の経済社会化」に向けて取り組んでいく
- 社会的価値「経済発展」「仕事の創造」「良き人生の実現に向けた支援」に関わる等価の社会的機能を選択して取り組んでいく
- SDGs 目標17、目標3、目標8、目標10 として取り組んでいく
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一
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