AI(人工知能)が代替できる仕事、代替できない仕事
AI(人工知能)が発達し、とりわけ、生成AIの普及と職場への浸透で、なくなるかも知れないと危惧されている仕事がたくさんあります。定型的な事務処理に関わる仕事、過去の事例など文章化された知識に基づく、すなわち、AI(人工知能)が学習可能な仕事がそれに該当します。
その一方で、AI(人工知能)が代替できない仕事というものもたくさんあります。その代表格は創造的仕事と言われるものです。例えば、世の中にはまだ存在していない、誰もが必要としているけど気づいていない潜在機能を実現するイノベーションが該当します。
創造的仕事をモデル化して生成AIで実現可能か試してみる
筆者が類型化して抽出した社会の趨勢にもとづいて、同様に、筆者が独自に抽出した6分類20類型の社会発展の方向性について、そこに隠されている潜在機能を、生成AIを使って導き出させよう、すなわち、私たち人間が思いもよらない 創造的仕事を創造する方法論 を創造させようと、色々試行錯誤してみました。(ちょっと、ややこしいですが)
筆者が試した社会発展の方向性とは、例えば、本コラムの命題「創造的仕事を創造する社会になる」です。しかし、生成AIから出てくる回答(潜在機能)は、全て、筆者がプロンプトで「創造的仕事を創造する社会になる」について定義した文章を要約しただけ、すなわち、私が既に知っている顕在機能ばかりでした。
この命題に対して、生成AIは潜在機能を導き出すことができませんでしたが、裏を返せば、「創造的仕事を創造する社会になる」という方向性について「生成AIを使った方法論の創造という新しい仕事のモデル化」は、現時点では、生成AIでは実現できないと立証されました。
創造的仕事は、何故、AI(人工知能)では実現できないのでしょうか
これは当然のことです。AIは、顕在しているものごとをデータ化したものを学習して回答しているに過ぎないからです。そもそも、AIにもフレーム問題があり、人間が概念を定義して学習させたこと以外の概念を生み出すことはできません。もっとも、このAIの原理的な課題はいつかは克服されるかも知れません。しかし、それを超える人間の創造的能力は、まだまだ、機械には超えられない領域のものだと考えられます。
「創造的仕事」を創造する方法論をモデル化するのは人間の仕事
これが、現時点での、筆者の結論です。AI(人工知能)では代替できな仕事のひとつが明らかになりました。もっとも、この仕事は、人間でも難しく、高度の抽象化力がないとできないかも知れませんし、そもそも、見果てぬ夢を目指して試行錯誤していくしかないのかも知れませんが。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一