今、多くの企業が、業務改革を経営課題として掲げています。もう少し、突っ込んで考えるなら、人口減少で人手不足だから、働き方を改善して効率化を図って働く人たちの負荷を下げて過重労働をなくしましょう、生産性も高まって高賃金を支払えるようになるでしょう、ワークライフバランスに配慮しましょう、その結果、優秀な人に来てもらえる(採用できる)ようになるでしょう、そうしたら人手不足は解消できるでしょう、といのロジックが成り立ちます。
年功序列と終身雇用制度が悪いと声高に主張する人もいます。効率の悪い人がポストにしがみついているとか、自己保身で現状維持ばかりを主張して変革が進まないとか、この制度に対する批判の種は尽きません。その一方で、人手対策として、定年延長や給料を下げない再雇用(嘱託)に取り組んでいる企業もあります。
個別の事情や主義主張の違いもあますが、無駄なことをしている筈もなく、常に目の前の事態に対して最適解を求めた結果であろうと考えられます。しかし、目先のことだけを考えていては、そもそもの問題である人口減少問題の解決にはなりません。
人には、それぞれに人生があり、生きる目的があり、人生設計があります。どの企業においても、一人ひとりの人生設計に寄り添っていかなければ、人口減少問題は解決できません。ものごとを効率、コストや投資の視点から捉えていては、人口減少問題は解決できません。結局は、人手不足問題は悪化していくばかりとなります。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一