昨日(2024.7.24)、総務省は住民基本台帳に基づく、今年1月1日時点の日本人は1億2156万1801人で前年から86万1237人減少したという、人口動態調査を発表しました。ポイントは以下の点です。
- 15年連続で減少で、前年比の減少幅は1968年の調査開始以来、最大となった
- 外国人は過去最多の332万3374人となった
人口減少問題の原点
高度経済成長期には人口増加が続いて経済規模が拡大し経済成長を牽引しました。工業やサービス産業に人口が移動し都市に人口が集中しました。都市化は経済の生産効率を高め、経済成長を牽引してきました。
これは、かつての経済成長のモデルの発想であり、企業経営の立場からすると、人口減少は、経済規模の縮小と人手不足に結びつきます。このモデルのまま、その延長線上で人手不足に対処方法しようとするならば、直接的かつ即効的にも、外国人の労働者を増やそうということになります。これは対症療法的な対策でしかありません。
かつての経済成長モデルは、農林水産業の衰退、地方経済や地域社会の衰退、非正規雇用による貧困層の増大、女性の社会進出の阻害、地球温暖化問題、自然環境の破壊などといった問題を、複合的に引き起こしてきたとも考えられています。そして、人口減少問題は、これらの問題によって副次的に引き起こされた問題だとも言うこともできます。
人口減少問題に対処するのではなく、本質的には、人口減少問題を解決する新たなモデル化こそが必要なのです
企業が、これからも経済合理性を追求していくためには、上記問題を解決していくことによって、人口減少問題を解決し、その上で社会の発展につながっていくような新たなモデル化に挑んでいかなければならないのです。
外国から労働者を招き入れることは、社会の多様性、人材の多様性を促すので素晴らしい取り組みと言えます。しかし、日本人自身が、①社会の中にある様々な構造上の問題を変革すること、②その取り組みを通して人口減少という問題を解決していくこと、③社会発展につながりうる社会な潜在する機能を見つけ出し、潜在ニーズを掘り起こして経済活動に結びつけていくこと、④そして、そうしたことを実現する破壊的イノベーションを巻き起こしていくことが必要です。これこそが、今、我々が知恵を絞って挑むべき最大の課題なのです。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一