#255 世の中にあふれる トランスフォーメーション “X”

 最近、頻繁に DX “Digital Transformation” という言葉聞きます。この他に世の中では SX “Sustainability Transformation”、 GX “Green Transformation” など「トランスフォーメーション」を使った言葉もあります。この違いは何だろうと首をかしげてしまいます。外来語では分かりにくいというので「変革」という言葉を使っても良いかも知れませんが、そもそも[Transformation=変革]であるかどうかも疑っておいた方が良いのではとも思えます。

 DX については、経済産業省 “デジタルガバナンス・コード2.0” において『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。』と定義されていて、これが日本における目下のところのコンセンサスとなっているようです。

 「みんなが DXと言っているから自社でも導入しなければ」というのは DXの導入が目的化していることに他なりません。企業がICTを導入する際に「目的を明確に定義しなさい」と言われて久しく、しかし、DX についても相変わらずこのことが指摘されています。残念な現実です。

 では「目的」は何でしょうか? いやいや、そもそも「トランスフォーメーション」の定義がしっかりしていなければ「目的」も定義しようがないのですが。

 私は「トランスフォーメーション」を『従来の在り様が新しい在り様になること』と定義しています。 この「トランスフォーメーション」の定義によれば、「従来の在り様」と「新しい在り様」が明確でなければならないことになります。すなわち、「トランスフォーメーション」のためには、まず、「従来の在り様」をきちんと整理して捉えて、その上で「新しい在り様」がどうあるべきかを具体的に描かなければなりません。

 SXだろうが、GXだろうが、DXだろうが、Transformation がこれらを括っている言葉なので、これらは相互に関係しあうことでもあることが分かると思います。そう、SXの「新しい在り様」の実現のためにはGXの「新しい在り様」が必要であり、SXやGXの「新しい在り様」の実現のためにはDXの「新しい在り様」が必要なのだと。

 こうして考えると “Social Transformation” で「社会の新しい在り様」、“Bussiness transformation” で「事業の新しい在り様」、“Management transformation” で「経営の新しい在り様」、 “Organization Transformation” で「組織の新しい在り様」を描くことも必然的に必要になることも分かると思います。トランスフォーメーションは『社会に変化を生み出す』 ことを考えて描いていくことから始める取組みなのです。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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