#194 コンピュータテクノロジー

 コンピュータテクノロジーは多方面での技術革新が期待される。

 一つ目は、演算速度の高速化(スーパーコンピュータ)である。IoT等の普及拡大によるビッグデータの方向性はどんどん加速され解析処理の高速化への期待には応えていかなければならない。また、取り扱う問題のパラメータも複雑に微細化し高速シミュレーション技術が求められる様になる。

 二つ目は、マンマシンインターフェースである。現時点では指先からの入力が主流だが、近未来は音声入力となり、その先には脳からの遠隔操作の時代が訪れる。画像表示も、網膜に投影する技術から脳に直接映像を送り込むことも考えられる。しかし、何よりもVRやARが台頭してくると考えられる。働き方改革では、テレワーキングが話題になっているが、近未来は、VR技術により、いつでもどこでも働く環境が周囲に映し出され、あたかもその中で働いているような気にさせられる。知識ベースを擬人化したヒューマノイドロボット(映像)が横にいて、ロボットと会話しながら仕事を進めることができる。

 三つ目は、ウェアラブルコンピュータ化である。身にまとった衣服などから身体の状況をモニタリングし、熱中症や血管系の疾患といった異常を検知したり、過度な運動や労働、偏った飲食を注意したりする。現在、予防医療の重要さが認識されつつあるが、ウェアラブルコンピュータはこの分野に大きく貢献すると考えられる。

 四つ目は、量子コンピュータやバイオコンピュータなど、新たなアーキテクチャーの分野である。ムーアの法則が限界となり半導体集積回路をこれ以上微細にできなくなると、代替技術が必要になる。現在、実現化されているアーキテクチャーはグリッドコンピュータであるが、本質的には、人間の脳の動作原理に近づける方向になっていくと考えるのが自然である。そして、やがては、人間の脳の情報をコンピュータにアップロードするなどといったことも考え出されるに違いない。

 コンピュータテクノロジーは、ある意味で夢を抱ける、そして、夢を実現する技術である。しかし、未来社会の持続可能な発展を考えた場合、それは夢であってはならず、現実的に、社会的課題解決やあるべき未来像の実現に寄与していかなければならない。それは、コンピュータテクノロジーとして考えるべきものである以上に、どんな目的の実現のためにコンピュータを活かしていくかという応用分野を深めていく人間や社会の問題である。かつては、軍事目的で発達した技術ではあるが、これからの時代においては平和な社会を実現していくためにコンピュータテクノロジーが進歩していく様に道を切り拓いていかなければならない。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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