今のネットワーク社会は、さらに進化し、機械と人間が会話し相互に反応して思考し行動するポストネットワーク社会になっていく。
ポストネットワーク社会では、遠隔に離れた言語や文化の違う人同士が同時通訳でコミュニケーションを図れる様になり、人の交流も仕事もその人の“意”を通じる環境で行える様になる。もし、何かの概念を知りたければ、検索エンジンがその意に沿った知識をネット上から見つけ出して解説してくれ、あるいは、その用途に即した文献を探し出してくれる。
もし、面識のない誰かが、ネットワーク上のエージェントが6次のつながりの中から伝(つて)を手繰ってあなたのネットワーク環境に忍び込んでくれるとしたら、それは脅威でしかない。そもそも、不要な勧誘メール等が今でも溢れており、犯罪にも悪用されている。ポストネットワーク社会では、そうした脅威から隔離されたセキュアな環境が構築されていなければならない。セキュリティ技術はポストネットワーク社会を支える基盤となり、そのための技術革新が不可欠である。また、自然発生的に進化してきたこれまでのネットワーク社会を轍として、ポストネットワーク社会では、こうした他人のコンピュータに忍び込む犯罪を起こさせない社会を築いていくことも必要である。犯罪のない社会を創ることはできないが、コンピュータを使った犯罪を起こさせない技術をネットワークシステムに埋め込むことは可能であろう。コンピュータ犯罪に対する罰則や社会的制裁といった法整備も必要であろう。国家による犯行に対しても国際社会による制裁の仕組みが必要である。
ポストネットワーク社会というこれからのパラダイムは、創造していく未来社会の価値としても大きい。未来社会の人類の繁栄につながるイノベーションとして、ポストネットワークの社会を築いていく取り組みに、国の戦略事業としても、民間企業の研究開発としても、大きな投資をしていくべきであろう。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一