社会の発展は、経済の発展と同義ではない。経済が成長すれば良いというだけでなく、社会システム、社会に定着している文化、人々の行動の仕方や習慣、知性、技術を統合し相乗させながら社会が全体として発展していかなければならない。また、社会全体が発展していくだけでなく、それと合わせて、個々人の意識も発展していがなければならない。すなわち、一人ひとりが、個性を追求しより良い人生を送れる社会となることが社会の発展の根源になければならない。
個性を追求しより良い人生を送れる社会となるために、イノベーションはどのような役割を果たすのだろうか。ロボットや人工知能が個性を追求しより良い人生を送れるようにしてくれるだろうか。医療技術の発展が我々の健康維持と不老長寿を実現してくれることで個性を追求しより良い人生を送れるようになるのだろうか。無人運転車、電気自動車や燃料電池車、リニアモーターカーが我々のモビリティをどのように変革して個性を追求しより良い人生を送れるようにしてくれるのだろうか。
私たちは誰もが自分の存在理由を自らに問い質しながら生きている。技術革新は、我々の心の奥底にある生きる目的を実現する手段でしかない。私たち一人ひとりの存在理由、私たちの生きる目的を実現することこそが、個性を追求しより良い人生を送れるということに直結する。
一人ひとりの存在理由、生きる目的を、私たちがどのように認識しうるかは社会の発展の状況に依存する。技術革新は未来社会の発展を実現するものであり、一人ひとりの存在理由、生きる目的をどのように認識しうる社会にするかということがイノベーションを興す人の意識に描かれていなければならない。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一