現在、働き方改革の中でフリーランスとしての働き方、副業の推進が議論されている。一方、シェアリング・エコノミーの話題が至る所で聞かれる。しかし、ちょっと視点を変えて、私の中での私自身の時間や能力(労働力)の使い方について考えてみたい。
私の日々の行動は、家族サービス(家族の介護や看病)、目の前にあるすぐに片づけなければならない仕事、休養、娯楽、将来に向けた思考や知識の吸収などであり、これらの活動はその日の優先度に応じて私の時間や能力(労働力)、そして投入しうる費用を分け合って費やされている。
この分け合い方は、私自身の意図もあり、周りの状況に応じて流されることもある。言葉を変えれば、自他の都合に応じて生じるこれら活動が、私自身の持っている資源(時間、能力(労働力)、費用)をシェアしていることになる。そして、私自身におけるその最適な配分がワーク・ライフ・バランスという言葉になる。
シェアリング・エコノミーは経済的なモノの共有に関する考え方である。一方、ヒトは社会的な存在でもあり、企業との雇用契約で結ばれた労働力としての存在でもある。ヒトをシェアリング・エコノミーの枠組みで考えるのは、いささか無謀とも言えるかもしれないが、色々な自他の都合に応じて生じる活動が、一人ひとりが持っている資源(時間、能力(労働力)、費用)をシェアすると考えるなら、無謀とまでは言えまい。
人口減少社会となり、色々なところで人手不足が不安視される中で、これからは、社会、企業、個人の暮らしの間で、一人ひとりが持っている資源(時間、能力(労働力)、費用)をどうシェアするかを考えていかなければならない。もはや、企業が一人のヒトの資源を拘束し独占できる時代ではない。働き方改革の前提を、もう一度、根底から考え直すべきであろう。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一