先日、近所の路上で信号待ちをしている時に、隣にいた母娘の会話に思わず聞き入ってしまいました。
娘さんは幼稚園児位でしたが、母親が「いつも、先を考えなさい」と教え諭していたのです。小さな子どもには難しいと思って聞いていると、母親は、これからの予定を復唱させて「それで、どうするの? 言ってみなさい」と具体的に質問を投げかけて、自ら考えて答えを導き出させていました。
契約に書かれた業務、マニュアルに基づく作業等では、文書に決められたことに従って業務を遂行することが求められます。特に、危険を伴う作業や厳密さを追求する作業、高度に効率を求める作業などには、マニュアル通りに行動できるように、また、その行動が高いレベルで維持されるように日頃から繰り返し訓練することも必要なことだと思います。
最近は、いたるところで指示待ちの人が増えているように感じています。
規定通り働くことは大事かもしれませんが、内発性や自律性といったことも大事だと私は思います。決められた作業をこなすだけでなく、その作業の中に、面倒くささや、品質を上げるための工夫が必要と感じたなら、疑問を投げかけて、自ら変革していくこと、創意工夫することがいわゆる、現場力として結実していくものです。
創意工夫は、ある意味、内発的で自律した作業でもあります。
そして、そのためには、自らその先を考える力、が必要になってきます。 まさに、「全体の状況や周りの人の仕事を見て、目配り、気配り、心配りをして、 次にどうなるのか」を考える力です。
先の母娘の例ではありませんが、いつも、先を考える習慣を身につけることも必要です。自ら先を考える行動ができるように、また、その行動が高いレベルで進化できるように日頃から繰り返し学習することも必要なことです。
今の世の中、多様性が求められていますが、
自ら“その先”を考え、多様な視点、多様な発想で創意工夫できる人が安心してその能力を発揮できることこそが、職場の多様性だと思います。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役 池邊純一