- 目的を共有する能力
- 持続可能な未来社会の発展につながる誰もが望むような普遍的で心に響くパーパス “Purpose” (個々人の生きる目的、企業の存在意義)を描けること。
- パーパスを第三者に実感できるように表現できること。
- パーパスに共感する人たちとの間で共有することで心からの信頼と結びつきを築けること。
- 前提となること
- 観念論ではなく第三者が実感できるパーパスがあること
1.「目的を共有する」ことの位置づけと構図
『目的を共有する』は「ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” (真の意思疎通)」を実現するための「6つの共有 “Sestet Sharing Methods” 」の一つです。
「目的」は、感性ではなく、将来の社会を俯瞰し未来構想のための知の探索(先見的探索、発見的探索、生成探索、仮説と検証)と未来構想実現のための知の深化(来の持続可能な社会の発展への洞察、仮説と検証)して得られたものでもあり、さらに、客観的な合理性、根元的な普遍性、倫理的な正当性から評価し、懐疑的に、また、内省して精査した結果として得られるものである
1.1.打つべき施策に対する意見の対立(対立点のデザイン)
人にはそれぞれの思いや考えがあり、社会の問題を解決して社会貢献すると言っても、あるいは、長期的な視点から持続可能な収益拡大を図ると言っても、打つべき施策に対する意見の対立は必然的に生じます。そこで、多様性を重視して「真の意思疎通」を図るためには、まず、対立点をデザインする というプロセスを経ることが大事になります。上図の例では「短期的な利潤追求」と「社会的存在意義追求」の葛藤を例示しています。
1.2.対立点の解消
どんなに議論を尽くしても対立点を解消することができないことがあります。「目的を共有するための真の意思疎通」となるためには、「私の問題認識はこうで、こうすれば解決できるはずで(仮説の設定)、そこにはこういう論拠がある(検証)」というやりとりが必要です。当社ではこのやりとりを『仮説と検証による議論』と呼んでいます。
『仮説と検証による議論』はディベート(相手を打ち負かす討論)ではありません。多様性や社会的包摂が求められる今日においては、お互いの思考をリスペクトし受け容れることが大事であり、その上で、対立点を明確にして結論を出していく議論が求められています。そして、このために、人類の叡智が見出してきました「対立点を明確にして結論を出すための議論」の方法論を活用することにならります。
- 結論づけずに、一旦、棚上げして対立点をリデザインして妥協点を探る(二項対立と脱構築)
- 折衷案でもWin-Winでもなく、より普遍的に掘り下げて根本的に解決する(二律背反とアウフヘーベン)
- 「Aでもあり¬Aでもある、より高い視点から全体を俯瞰して、他者を否定せず、本質的な論点で融和を図る(即非の論理)
2.ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” のために具備すべき組織の能力と施策のチェックポイント
- 目的を共有する能力の基盤
- 企業の歴史に裏打ちされたストーリーがある。
- 継続的に一貫した目的を掲げている。
- 組織内で培われ認知された表現の型がある。
- 組織内で浸透させていく周知された過程がある。
- 経営と現場の間での双方向のエンゲージメントが信頼の基盤となっている。
- 目的に沿って行動する信頼関係(暗黙の了解)が自然と身に着いている。
- 目的を共有するための施策
- 目的について語るための共通の言葉を確立する。
- 目的についてことあるごとに語る習慣を組織内で定着させる。
- 目的について経営と現場の間での双方向のエンゲージメントの型を規定する。
- 目的について外部のステークホルダーにも周知し認知を得る。
- 目的に基づいた具体的なアクションプランを設定して実行する。
- 目的の実現のために誰もが参加でき受容されることをルールとして定着させる。
- 経営と現場の間でのいつでも開かれた双方向のコミュニケーションプロセスを用意する。
- 目的に共感する人であることを条件に採用する。
- 目的に基づいて評価制度をデザインし公正公平に評価する。