最近は、企業経営においても「パーパス “Purpose”」(目的)が大事だという意識が広がっています。しかし、「パーパス “Purpose”」と言われてもよく解らないというのが現実だと思われます。
パーパス “Purpose” とは
当社では、『パーパス “Purpose” 』 を “Well-being” (企業の存在意義、個々人の生きる目的)の論点から 企業で働く個々の人たちの『未来社会をこうしたい』という思いによって培われていく企業が社会の中で存在する意義 と定義しています。
ボストン コンサルティング グループは『パーパス “Purpose” 』 を「製品をつくり・売る、サービスを提供することを超えて、わが社は、なぜ社会で存在する価値があるのか」「もしわが社が消滅したら、世界はかけがいのない何を失ってしまうのかといった企業固有の存在意義を包含する」と定義しています。
パーパス “Purpose” 再考
日本企業は従来より「経営理念」を掲げて経営をしていました。また、「ビジョン・ミッション」といった概念を導入している企業も少なくありません。現実的には従来の「経営理念」を「パーパス」と読み替えて運用しているところも散見されます。こうした混乱は「パーパス」が『経済成長の世界観』のもとで観念的に語られてしまうことに起因していると思われます。
実際、「理念」や「ビジョン・ミッション」と言われて過ごしてきた人たちには「パーパス」を観念で捉えてしまうことの方が多いのではないでしょうか。いくら「観念」を並べ立てても自分の心には嘘をつけません。文章的には綺麗な言葉で書かれていても規範的であっては納得感を得ることは難しいように思えます。「この製品は社会にこんな役に立つ」と言っても経済合理性の思考では「効用」や、せいぜい「利便性」を述べているに過ぎないのかも知れません。
一方、当社が定義する「パーパス “Purpose”」は、むしろ、『社会発展の世界観』に視座しており、観念論ではなく「如何にあるべきか “What to be”」の視点で捉えた定義になっています。それは言葉では言い表すことは難しいものです。
【参考文献】
- ボストン コンサルティング グループ編集, 秋池玲子,木村亮示,佐々木靖,東海林一,竹内達也, 『BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る』, 日本経済新聞社, 2020.