#94 今こそ、未来社会に向けて創造する価値からビジョンを再構築しよう!

 今、社会は大きな変革期にあると思えます。予想もしなかったブリグジット(英国のEU離脱)や米国のトランプ大統領の就任もそのひとつです。こうした現象の底流に、グローバル経営の弊害(行き過ぎた経済格差の拡大)があるのは明らかであり、多くの人たちが想定していた未来社会への道筋を描き直さなければならなくなっている事態が起きていると考えなければなりません。
 日本国内では、経済成長を前提にしたマクロ経済政策が行き詰まってきています。企業にとっては、新たな事業の投資先も見つからず、サービス社会化にともない大型の設備投資は不要になり、内部留保が大きく膨らむ一方です。将来への成長が望めず生産性が高まらない状況では、利益を給与にまわそうというモチベーションも湧いてきません。給与所得が上がらず個人消費は伸び悩み、街角の景気は一向に改善されないままです。人口減少社会化がどんどん進んでいく成熟した社会を発想の前提として、未来社会の在り様を考え直さなければならないと言えます。
 今、AIやIoTなどが新たな技術革新として着目されています。そして例えば、自動車の自動運転技術への応用などが期待されていますが、人口が減少していく成熟社会における人の移動や物流がどうなっていくか、社会の在り様の視点からAIやIoTなどの技術をどの様に実現していけば良いかを考える必要があります。
 これまでの延長としての未来社会ではなく、また、技術によって期待される未来社会ではなく、未来社会における人の暮らし方や生き方を通じて実現したいことは何かを描いていくことが必要です。そしてそこにこそ、未来社会に向けてどんな価値を創造していくべきかが見えてきます。今こそ、未来社会の価値からビジョンを考え直すべき時だと考えられます。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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