これらのケースは、元々、当社が “Innovation Transforming” のワークショップ用に仮想のケースとして考案していたものです。ChatGPT4oはキャンバス上に回答を出力していますが、下図ではそのテキストを一覧表に整理しています。ここで示されているIDとは、“Insight Engine” に学習させたカスタマ・インサイト、コンシューマ・インサイトに付与した番号です。ChatGPT4o は学習データにあるインサイトを横断的に検討し、ケースごとに適切なものを選定しています。バリュー・プロポジションは、選定したインサイトの組み合わせから学習データに基づいて作成したものであり「目的」「概要」「効用」で回答するように指示しています。
ワークショップに限らず、実務においても、アイデアはどうしても思いつきの列挙と実現性と収益性の評価の議論に陥りがちですが、「社会実装に向けて掘り下げていく論点」は、アイデアを社会実装していくために深掘りしていかなければならない点についてアドバイスをするものです。また、社会実装するためには社会学の知見も必要となり、それを根源的に深めていくためには哲学の知見も必要になります。「社会実装に向けて掘り下げていく論点」「準拠する理論」は学習データにインサイトと紐づけて学習させたものから ChatGPT4o が生成しています。
2.1. ケース1 水産加工販売会社のケース
事例1の企業は、日本でも指折りの漁港の漁師町にある明治時代に創業した地域密着型の中堅海産物加工販売事業社です。網元から鮮魚を仕入れており、季節の旬で獲れた新鮮な魚介類が魅力です。漁港では直営店があり、ネットで加工品の販売も行っています。近隣の生鮮市場の飲食店街や都会の飲食店街に直営レストランも展開しています。レストランは海外観光客からも好評で、SNSで世界中に美味のお店として噂が拡がっています。経営も好調で事業拡大を考えています。しかし、その一方で、日本では少子高齢化が進み、日本人の魚離れも相まって、海産物市場は縮小傾向です。漁港も過疎化が進み、取引のある網元も高齢化して廃業する人が増えています。加えて、地球温暖化の影響で、沿岸で獲れる人気のある魚の漁獲量も激減してきており、取り扱う魚も深海魚や暖かい海域に生息する魚種に変更せざるをえなくなってきています。これまで、需要の変遷に合わせて事業を展開してきましたが、将来に向けて、どのように事業を展開すればよいか先が見えません。商品を買ってくれたり、レストランに来店してくれたりする顧客は何を望んでいるのか(カスタマ・インサイト)、海産物加工販売事業社として消費者がどのような経験を望んでいるのか(コンシューマ・インサイト)、そうした顧客の願いを叶えるべく、どのような価値を提案(価値提案)すればよいのか考察して下さい。

2.2. ケース2 家庭用家具製造販売事業社のケース
事例2の企業は、家庭用の家具や室内装飾品の製造から販売までを手掛けている中堅企業です。戦後まもなく家庭家具メーカーとして設立し、高度経済成長期のベビーブームで急増した比較的若い夫婦層やファミリー層を客層として急成長しました。高級品ということではなく、利便性を追求した商品品揃えで中間所得層の需要を満たしてきました。その後、多角化戦略の下、室内装飾品、照明機器、室内着などに事業を拡大し、東京圏以外に札幌・仙台・名古屋・大阪・北九州といった大都市圏に店舗を積極的に展開してきました。しかし、最近では、同様のビジネスモデルの海外企業の日本への出店が相次ぎ、また、異業種の参入ということもあり競争が激化し、売上高の維持が難しくなってきました。また、団塊世代の高齢化、少子化などで需要も縮小傾向にあり、長期にわたるデフレ経済下で商品価格の値下げで対抗せざるを得ずに利益率も低下してきました。その上、コロナのパンデミック以降の国際的なインフレにより原材料も高騰し、物流費の値上げ、人手不足に伴う人件費の負担増大が追い打ちをかけてきています。そこで新たに「生活空間のトータルクリエーション」と言うコンセプトの下、遮熱性の高い窓やカーテン、窓の防犯対策といった社会問題にも対応する「室内のことなら何でもオールインワンのワンストップサービス」を展開することにして、高齢者層の新たなニーズを取り込みつつ、若年ファミリー層にも付加価値サービスを提供して差別化を図ることにしています。また、通販サイトを新設し新たな顧客の獲得を目指すことにしました。加えて、サステナビリティに配慮して家具などの原材料もフェアトレードやエシカル素材にこだわったり、アイデンティティの時代のニーズを吸収するために家具の製造に匠の技術を取り入れたり(生産委託)、室内装飾品の作成に著名なデザイナーを起用したり、人気のあるキャラクターをデザインに取り込んだり、買い替え需要に応えるために古くなった家具等の引き取りとリサイクル活用もサービスに組み込んだりしようと考えています。そこで、「室内のことなら何でもオールインワンのワンストップサービス」の販売拡大を図る新事業戦略を構想し、売り上げ拡大、利益率向上につなげようと考えています。

【補足】 ChatGPT4o の回答(キャンバスのスクリーンショット)
