組織学習の文化

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組織学習は「学習する組織」(日本語訳:副題「システム思考で未来を創造する」、ピーター・センゲ著、枝廣淳子訳、英治出版、2011年6月、元々は、1970年代に1970年代にクリス・アージリスが提唱した概念)で示された考え方である。そこでは、3つの柱として、①複雑性の理解、②志の育成、③協創的な会話の展開、5つのディシプリンとして、①システム思考、②自己マイスタリー、③共通ビジョン、④メンタルモデル、⑤チーム学習を挙げている。 近代化(モダニズム)から脱近代化(ポストモダニズム)へと向かっていく移行期に示されたこの概念は、大量生産・大量販売・大量消費の時代に人間が機械として働くモデルから、個々人が学習して成長し組織も学習し成長していくモデルに転換していったことを示している。これは、個々人が、決められたことを忠実に実行すれば良いという意識の発達段階から、蓄積した経験知や知識を活用して自ら判断して行動する意識の発達段階に移行していくことを意味している。 しかし、脱・近代化(ポストモダン)の時代になり多様性が重視される時代には、個々人の経験知や獲得した知識、あるいは、自我(エゴ)が前面に出ると組織内での衝突(コンフリクト)が起きてくる。そこで、自己を超越し、相互の意見を戦わせて勝負を決めるのではなく、それらを合わせてより良い結論を得ようと思考し、他者への心遣いやお互い様の気持ちで献身的な気持ちで協創していくことが推奨されることになった。 学習する組織の3つの柱と5つのディシプリン、及び、他者への心遣いやお互い様の気持ちで献身的な気持ちで協創していく意識への発達は、未来社会に向けた価値を創造していく上で欠かせない。共通ビジョン、自己マイスタリー、メンタルモデルによる個々人の意識を高めていく仕組み、チーム学習と他者への心遣いやお互い様の気持ちで献身的な気持ちでの協創の仕組み、システム思考で社会システムをモデル化する仕組みが揃って組織学習の文化は醸成されていく。逆に、醸成された組織学習の文化が、個々人の意識を高めていく仕組み、チーム学習や協創の仕組み、システム思考でモデル化していく仕組みが形成されていく。


【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. IoT、ロボットや人工知能技術は、職場、及び、社会生活への適用の場を増やしつつある。その結果として、ロボットや人工知能が人の労働機会を奪うとも言われている。
  2. 個人主義の枠組みを超えて、人権が重視され個人が自立し自己の実現を求めて自律していく社会となる。
  3. これまでの教育は労働市場が求める人材の育成に偏っていた。また同様に、多くの企業研修のみならず、企業経営の考え方そのものも、高度経済成長期の成功モデルに根差したものに偏っていた。
  4. 21世紀型の経営モデルでは、企業は社会の一員として社会とつながり、従業員も生活者として社会とつながっていて、社会と企業と従業員が一体化してつながっていく。

【未来における社会的価値の創造】

  1. 21世紀型の経営モデルでは、企業は社会の一員として社会とつながり、社会と企業と従業員が一体化してつながっていくための学習が必要である。それは生きていくことに対する深層にある真実の知の学習である。
  2. 人は、ロボットや人工知能が担うべき仕事の役割を分担しながら、組織として学習するとともに人としても学習し成長し、協創していく。
  3. 人、ロボット、人工知能が協創しながら未来社会の価値を創造していくという新たな組織文化の中で、新たな組織学習の文化を醸成し、新たな組織学習をしていく仕組みや基盤を構築いていくことが必要である。


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