社会的課題解決のフレームワーク
多くの社会問題を引き起こしている要因は、少子化、超高齢化、人口減少化、生産可能年齢の総人口に占める割合の低下、人口の都市部への集中化等の人口問題である。少子化は、人口減少化や生産可能年齢の総人口に占める割合の低下を引き起こし、超高齢化は社会保障費の増加につながる。人口減少化は経済の長期的な縮小を意味し、生産可能年齢の総人口に占める割合の低下は社会保障制度を維持していくことが困難になることを意味する。人口の都市部への集中は地方財政の悪化を招き、経済の縮小と社会保障費の増加は国のプライマリバランスの悪化を意味し、将来的には日本の経済破綻へとつながっていく。地方の高齢化が進むことで農山林業が荒廃し日本の食料自給の不安を生み出していく。しかし、人口問題の根源には、経済問題、特に、雇用不安や安定しない収入の問題がある。雇用不安があり将来的にも収入増が望めないのであれば、誰しも子供を欲しいとは思えなくなる。企業が人件費を減らすために非正規雇用を増やしたことで若年層が安定した収入基盤を築くことができないまま独身生活を続け、やがては、生活弱者となっていってしまう。 社会的課題解決には重層的な取り組みが必要である。そしてそのためには、システムダイナミクスに基づく戦略的な取り組みが必要である。官僚機構は、夫々の役割に基づく分掌を果たすために最大効率化が図られた組織である。企業は利潤を追求するために徹底的に経済合理性を追求する組織である。政治は国民や地域住民の利益を追求し戦略的に意思決定をする役割を担っている。しかし、夫々に自らの組織の縄張りを争う意識、既得権益を守る意識、組織の安寧を第一に考える意識が常態化することで、組織の縦割りが進み、忖度などが横行してしまう。社会的課題の根本的な原因はこの常態化する組織の縦割り構造であるともいえる。 人々の意識の改革も必要である。高度経済成長期の成功体験や近代化思想(モダニズム)を支えた上意下達の組織構造の意識は根深い。脱近代化思想(ポストモダニズム)が広がり多様性が重視される様になったとは言え、雇用や昇進機会に関する男女の差は相変わらずである。株主重視の経営も当然のこととして受けとめられている。経営絵者や社員が社会的課題解決を意図しても、株主の利益につながらなければ実行することはできない。株主自身が投資利益に執着している限りにおいて、企業が社会的課題解決に真剣に取り組むことはできない。最近になってESG投資が広がってきたが、環境を配慮せず、労働環境を改善せず人権軽視と社会的に批判され、法令に基づいた経営がなされていないと見做された場合に不買運動や損害賠償が発生し、企業ブランドが低下することの影響で株価が低下するリスクが少ない企業を選別して投資しようという文脈が背景にある。 社会は少しずつ変化していく。ロボットや人工知能技術が進歩し職場や生活の場での利用も広がっていく。ソーシャルネットワークが社会に普及し人々は世界とつながり自ら知識を収集し情報を発信していく。政治家がソーシャルネットを活用したポピュリズムに走り、保護主義や一国主義が横行し社会は分断され始めている。こうした変化の流れの中で社会的課題も変化していく。真に大事なことは、未来社会の持続可能な発展に向けた取り組みであり、今、起きていることだけではなく、その及ぼす影響とその先への影響の広がりを読み解いて、まさに、システムダイナムクスの発想によって、社会的課題をどの様に解決していくかを統合的な視点で思考していくことが必要である。
【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)
- 少子高齢化、少子化、高齢化(長寿社会化(100歳時代社会))、孤立化、孤独化、超高齢社会化、人口減少社会化、人手不足、過疎化、限界集落、地域社会の荒廃、空き家問題
- 買い物難民、医療難民
- 世界的な人口増大化、人口ボーナス社会化
- 食料危機、低食料自給率、低食糧自給率、食品廃棄、食品廃棄ロス、食料不足、飢饉、不作・凶作、食料争奪化、ランドラッシュ、食料資源の乱獲、食料資源の枯渇、耕作放棄、収量増産の限界
- エネルギー危機、オイルピーク、原発リスク(原発事故のリスク)、放射能汚染、核廃棄物、核のゴミ、核廃棄物問題
- 公害、大気汚染、水質汚染、土壌汚染
- 地球温暖化、化石燃料、二酸化炭素排出
- 地球環境破壊、自然環境破壊、生物多様性、野生保護、密漁、絶滅(絶滅危惧)、絶滅危惧種(種の保存)
- 経済格差社会、貧困(貧乏)、生活困窮、生活弱者保護、貧困の深刻化、貧困の世代を超えた拡大
- 自治体の財政破綻、破綻自治体、財政再建団体
- 社会インフラの老朽化、交通インフラの老朽化、生活インフラの老朽化
【未来における社会的価値の創造】
- 社会的課題解決をどう方法で解決していけば良いかを思考するためのフレームワークは、①既存を保護する、②新たに創造する、③育成する、④質を豊にする(ハイクオリティにする)、⑤転換する、⑥節約する(消費を減らす、所要量を減らす)、⑦共有化(シェア)する、⑧保全する、⑨再利用する、⑩廃棄を減らす、⑪循環サイクル化する、である。
関連事項
- 経営戦略論、経営戦略フレームワーク、事業戦略論、事業戦略フレームワーク、マーケティング戦略論、マーケティング戦略フレームワーク
- 顧客に関する視点から捉えた競争戦略一覧
- 組織問題の詳細と組織変革に向けた組織改革戦略一覧
- イノベーションへの過程と道筋一覧
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