ここで言う社会システムとは、社会発展をシステムとして実現させうるシステムである。それば経済システムであるばかりでなく、その社会の道徳観念に基づく倫理システムとしても機能しなければならない。また、その社会で暮らす人々の合意形成によって成り立つシステムでもなければならない。
社会システムの要件
- 社会システムは、多様性のある社会を実現しなければならず、誰も取り残さない“Leave no one behind”誰も取り残さない社会的包摂のあるシステムでなければならない。逆に、社会システムに社会的排除があってはならないし、そのためには公正公平なルールに基づいてオープンな仕組みとして構築されなければならない。
- 社会システムは、暴力等の犯罪行為による強制、誹謗中傷等を使った干渉、同調圧力による強制を排除するシステムでなければならない。
社会システムの具備すべき機能
- 地球温暖化問題対応(脱炭素化)や環境負荷を小さくする工夫が織り込まれていること。
- デジタル化が進むことで便利になる反面、生身の人間を対象としている分野については、アナログでの対応や人間の所作の温かみを感じられる機能を残しておくこと。ごく自然に使いこなせるようなアフォーダンスを用意しておくこと。
- 新たな社会システムの構築によって仕事を失う人達に対して、新たな仕事を創造し、または、リスキリングの機会を提供していること。
- 開発プロセス、商取引、利用シーン、リサイクルや廃棄プロセスの全てにおいて社会で定められた法令や社内の倫理規定に違反していないこと。即ち、法令遵守(コンプライアンス)していること。
- 必要以上の個人情報を収集していないこと、個人情報を利用するには本人の同意をとるとともに個人の特定につながる利用の仕方はしていないこと、個人情報の利用については本人に何がどのように使われたか確認できる仕組みになっていること、個人情報の利用を本人が選択できる仕組みになっていること。
- 人の自由を束縛するような監視にならないこと。
- 人の気持ちを不快にさせたり、暴力に駆り立てたりしないこと。誹謗中傷に利用されたり駆り立てたりしない仕組みになっていること。
- 人に危害を加える恐れがないこと、また、そうしたリスクを抑える(回避、低減、移転)工夫がなされていること。
- 「幸福に過ごしたいという願い」「持続可能な社会の発展」の実現であることから、軍事転用を防ぐ仕組みになっていること、及び、そもそも軍事目的ではないこと。
- 機械的に故障しないことやコンテンツ(人工知能に学習させた知識、制御プログラム、オペレーションシステム)に問題が発生しないことは絶対にありえない。そうした故障したり問題が発生したりしたときの代替機能が備わっていること。
- 完全なセキュアなシステムを作り上げることは不可能であり、逆に、そうした抜け穴に付け込むことを考える人がいなくなることもない。常に、セキュリティ対策を講じておくこと。