これからの社会は「社会の持続可能な発展(サステナブル)」を追求し、「多様性のある社会発展と包摂的な経済成長」を目指していく社会となっていきます。
- これからは「社会的価値創造の競争」の社会となり、「利潤追求の競争戦略」を描けば良いという時代は終焉し、生き残っていくためには目先の儲けではなく、「人間を中心にした社会の発展」 という新たな価値を創造していかなければなりません。
- 現在、多くの企業がブランド価値を高めるために「社会の持続可能な発展(サステナブル)」への取り組みを始めており「社会的価値創造の競争」を繰り広げています。
- 多様性のある社会発展と包摂的な経済成長を目指していく社会では、誰もが心豊かに暮らせる社会の創造、人夫々のQOLの最大化の実現を図っていかなければなりません。
- そのためには、一人ひとりが 夫々に描く未来社会における価値 を目指して、ディスラプション(破壊的イノベーション “Disruptive Innovation”)を創出していかなければなりません。
企業として利潤を追求していくためには「短期的に儲かること」「目先の利益」に思考が集中してしまいます。そして、日々の業務をこなしていく喧騒の中で、例えば、顧客が必要とするものを創造する、売れるものを作る、コストを削減して利益を確保する、必要としている顧客に届くようにすることに思考が奪われてしまいます。
しかし、本当に大事なことは、「短期的に儲かること」「目先の利益」ではなく、その先にある「ありたい姿」(状態)の実現です。そして、「ありたい姿」の追求は「目的」の追求につながっていきます。「本当にやりたいこと」の本質は「存在意義」「生きる目的」を追求することです。
第一段階:本当にやりたいことを見つける
一人ひとりが 夫々に描く未来社会における価値 を目指して、ディスラプション(破壊的イノベーション “Disruptive Innovation”)を創出していくためには、①企業としての存在意義として「未来社会に向けて創造しようとしている価値」(「社会の持続可能な発展(サステナブル)」に取り組む目的)を描いていること、②一人ひとりが、自分の「本当にやりたいこと(生きる目的)」を描いていること、③企業の「本当にやりたいこと(存在意義)」に一人ひとりが「共感」し、その中で、自分の「本当にやりたいこと」を協創していけること、が必要です。
現実的には、未来社会に向けた「企業の本当にやりたいこと」「自分の本当にやりたいこと」を掘下げて描くことは難しいことです。そして、それが十分に描き切れていないために、思考が「短期的に儲かること」「目先の利益」に忙殺されて、(1)企業の新たなブランド価値、すなわち、「社会的価値創造の競争優位性」を築くこともできず、(2)一人ひとりも「本当にやりたいこと」が後回しになり、貴重な人生の時間を費やすことになってしまいます。
しかし、現実を少しずつ変えてみてはどうでしょうか。もし、「本当にやりたい」と思っていることが、表面的なことではなく、心の奥底に潜んでいることに訴求することであれば、そして、それが誰も成し得ていないことであれば、新しい大きな市場がそこに眠っている筈です。
- 現実に起きていることは細分化することにより問題を整理できます。一方、「本当にやりたいこと」の思考を深めていくためには、その詳細を突き詰めていかなければなりません。
- 現実として起きていないことを考えるには類推(アナロジー)が必要であり、抽象的に表現することが必要になります。また、色々な人に分かりやすく伝えるためにはメタファー(隠喩)も必要になります。
- 頭で考えたことでなく、心の感覚や身体の感覚で感じることに訴えかけることがより強い説得力となって伝わっていきます。
- ここまでの思考により「本当にやりたいこと」は「存在意義」「生きる目的」へと深化していきます。そこでここまでの深化した思考を「〇〇が●●できる」という形で表現してみしましょう。ここで、〇〇は自分でも構いませんし、我が子でも構いません。そして、●●は状態です。当社では「心をときめかせて未来社会を語っている」(未来社会のことを語れる)としています。
- 具象化した「〇〇が●●できる」を、社会の中にイノベーションとして普及させ浸透させていくことで、社会システムが進化し、社会の文化(人々の思考や行動の習慣)が変容し、また、人々の活動の基盤となるプラットフォームも進化し、新たな商品も深化していきます。
- ここで描き出されていく「本当にやりたいこと」は、Trigonal Thinking (TM) の「如何にあるべきか “What to be”」の思考過程とも重なります。
何についてでも構いません。どんな論点からでも、まずは、自分の「本当にやりたいこと」が現実の仕事になっているのか、ありたい自分の実現につながっているのかという問いかけをしてみましょう。そこにはギャップがあり、ギャップがあることで問題を認識し、そこに解決すべき課題が見えてきます。視座と視点を広げ、多角的に捉え、深掘りして、あるいは、高い視点で捉えていくと、さらに、異なる問題も見えてきます。仕事だけでなく、自分の生き方や暮らし方、家族などとのかかわり方、組織とのかかわり方、社会とのかかわり方も、見え方が変わり、「本当にやりたいこと」の本質も見えてきます。これは、経営者が「企業の存在目的(企業が本当にやりたいこと)」を描くに際しても同様です。
第二段階:「問題認識自体にある問題」を見つける
こうして、「本当にやりたいこと」が実用化され、新たな市場を形成し、経済成長を牽引していくことになります。しかし、ここで、「本当にやりたいこと」が、未来の社会にとって「本当にあるべきこと」なのだろうかと見つめ直すことも必要です。特に、現実の社会にとって「本当にあるべきこと」と自分の「本当にやりたいこと」との間には乖離があり、人は生きていく上で状況に応じて様々な妥協をして、心の中に現実解(社会慣行、制度)としての「ありたいと思うこと」を醸成させていきます。そして、その時代に生きている人々の「ありたいと思うこと」の中に「前提としていること」を、知らず知らずのうち(認識されることなく)に設定してしまっています。社会の中で様々に真の変革を生み出していくには、この認識されていない「前提としていること」そのものをあぶり出して変革していかなければなりません。
社会には「社会的倫理、時代の通念、社会的慣行(慣習)、固定観念」があり、個々人には「大義、経験知、習慣、価値観」があります。「ありたいと思うこと」と、自分自身、組織、社会の間にある違いについて問いかけて、①どこに「前提としていること」があり、②社会の中なのか、個々人の中なのか、どこにせよ「乖離」があるのか深掘りしていかなければなりません。③そして、「前提としていること」の何が問題であるかを見つけ出し、真に解決すべき課題を認識できるようにしなければなりません。