社会の中では多様な人達がつながり合いながら生活を営み、生産活動や経済活動を繰り広げて人生を送っています。『社会問題』とは、こうした諸活動の妨げとなる意図せざる状況によって生じる問題であり、例えば、諸活動そのものが生み出す社会全体としての損失、制度の劣化(社会の変化に制度が追いついていない)ことによる矛盾などというものが考えられます。また、ある『社会問題』が他の『社会問題』を誘発していたり、複雑に複合してより深刻な『社会問題』を引き起こしたりもしています。
『社会発展のシナリオを』を深掘りしていくためには、その前にどんな社会問題が社会の中に潜んでいるのか、また、それらがどのように絡み合っているのか『社会問題の構造』を捉えることから始めて、その個々の『社会問題』を掘下げつつ全体構造を解きほぐして包括的、且つ、複合的、重層的な解決の仕方を構想し、『社会変革構想モデル』に織り込んでいかなければなりません。
社会問題の体系
『社会問題』はまた、顕在化しているものばかりでなく、潜在的に社会のどこかに潜んでいるものもあり、その場合は特に、誰もが気づくことのできるものではなく、立場の弱い人達に重たくのしかかっていて、そうした人達の声なき声に耳を澄ませ、その辛さや苦しさに共感し寄り添うことで始めて気づかされるものもあります。
このように『社会問題』に気づくには他者の声を聴く必要があります。現代では、マスコミが発達し多くのことが社会に伝えられ、また、ネットワークを検索することで情報を得ることもできます。私達は自分の諸活動に関わることばかりでなく、例えば、顧客といった利害関係者の諸活動に関わることにも思いを馳せなければなりません。
相互に絡み合った社会問題の全体構造分析
以下の図は、相互に絡み合った社会問題の全体構造を概略分析した例です。
経済成長モデルの下で企画したこれまでのビジネスを、このような社会問題の全体構造にマッピングしていくことで、既存のビジネスと社会問題との関連を包括的に分析することが可能になります。