「日本企業がイノベーションを起こしていない」という声を聞くようになってからずいぶん経ちました。日本社会が停滞しているというのも、多くの人たちに実感されているのではないでしょうか。
しかし、どの企業でもイノベーションを起こそうと努力しているのが実態であり、思うような結果が出ていないのが現実ではないでしょうか。
この「社会変革感度分析」の目的は、そもそも、社会を俯瞰し、経営哲学を持って、社会変革にどれほどの関心を持って、イノベーションに取り組んでいるかを分析するものです。
1.社会変革感度分析シート
「社会変革感度分析シート」のサンプルを以下に示します。
「社会変革感度分析シート」では、どの様な視点で社会を俯瞰しているか、どんな未来を創造したいか、社会変革をどのように思い描いているのか、社会変革にどのような思い入れで取り組んでいるのか、どのような社会問題の解決に取り組んでいるのか、SDGsのどの目標に関心があるのかについて119項目の質問に「■(チェック)」していくだけで以下に示す4つの視点からの分析を行うことが可能です。
(1) 社会変革構想モデル分析例
「社会変革構想モデル」については 「変革構想の論点整理」のページ『2.事業によって実現していく社会変革構想モデル』『3.「社会変革構想モデル」を創造する思考のフレームワーク』 をご参照下さい。
(2) 社会問題への関心と寄与分析例
「社会問題」については 「社会問題の構造」のページ をご参照下さい。
(3) 社会変革構想モデルと他の論点との関連性分析例
「どんな未来を創造したいか(人としての普遍的欲求への対応)」については「人としての普遍的欲求への対応」のページ をご参照下さい。また、「社会を俯瞰してみた社会発展の方向性」については 「変革構想の論点整理」のページ『1.「社会の中での生きる目的」を見いだす 社会発展の方向性(24個のメタタイプ)』 、「コンフリクト要因」については「変革に対して生じる葛藤(コンフリクト)」のページ をご参照下さい。
(4) 社会変革構想モデルに及ぼすコンフリクト要因分析例
「社会変革構想モデルに及ぼすコンフリクト要因」については 「変革に対して生じる葛藤(コンフリクト)」のページ をご参照下さい。
「変革」に対して「コンフリクト要因」を分析する理由は、例えば、社会変革を提案しても(イノベーションを企画)しても「それは果たして売れるのか」「利益がどれぐらい出るのか」といった、いわゆるビジネスセンス(直観)で評価されて却下される場合が多いという合理的な判断がある一方で、実は、その深層に、我が身や組織の立場を守りたいとか、既得権益を守りたいとか、更には、正常性バイアス、現在バイアス、現状維持バイアスが根深く作用していて却下される場合が多いのではないかと推測されるからです。特に、日本人は「同調圧力」が強く作用する国民性だとも言われています。保身に固執する文化が充満してしまうと社会は停滞してしまいます。 日本社会に変革を起こして閉塞感を断ち切っていくためには、「コンフリクト」と対峙し、その奥底にある心理学的要因にまで踏み込んで解決していかなければなりません。