- 直観を共有するとは、
- 組織の誰もが、製品市場/ビジネスモデル/プロセスに関するビジネスセンスを共有し、組織の誰もが発生した事象を知覚してなすべきことと判断基準を共有していること。
- 直観を共有することによって、
- 感知し認識した事象に対して指図される前に咄嗟に判断して対処することができるようになる。
- 組織の中の自律的で内発的な交流を通して セレンディピティ “Serendipity” を巻き起こせるようになる。
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1.直観とは
同じ組織の中で協働している人たちにはそれぞれに学習した知識やスキル、生まれ育った経験や業務経験によって蓄積されたノウハウがあります。これらはみな 知覚した事象やものごとについての 直観 と言えるべきものです。「ビジネスセンス」という言葉もありますが、「俯瞰し洞察して直観する能力、あるいは、俯瞰し洞察した直観であり、要約すれば同義に捉えることもできるでしょう。「直観の類型」についてはこちらを参照下さい。
直観(ビジネスセンス)として最も身近な例は「売上」に関するものでしょう。おそらく経営者は企業を成長させるために様々な施策を施して売上を伸ばそうとしていることでしょうし、現場で働く様々な人たちも夫々に担っている役割の視点から売上を伸ばすために行動していると考えられます。
例えば、売上を伸ばすために、日本の多くの企業経営では競争戦略の視点から考えるでしょうし、マーケティング部門はSTP/4P(Segmentation・Targeting・Positioning/Product・Price・Place・Promotion)等による戦略から考え、営業部門はセールスパイプラインを管理して手を打ち、生産や供給部門は欠品で販売機会ロスが起きないようにしているでしょう。
2.何故、組織内に潜在するビジネスセンス(俯瞰し洞察して直観する能力、あるいは、俯瞰し洞察した直観)が必要なのか
企業の存在目的は「利潤の追求」と言われてきましたし、これからも変わることのないことではあるのでしょう。しかし、人権の重視や自然環境の保護などの社会視点でものごとを捉えて、「社会の持続可能な発展 “sustainability” 」を前提として事業を営まなければ、企業は信用を失い存続することが難しくなってきています。
そうした時代の趨勢の下で、最近は多様性が大事だと言われていますが、国や地域、文化の違いなど多様な環境で育った人たちの出会いが新しいアイデアを生み出すのではないかと期待されています。また、様々に異なる価値観の人たちの出会いが新たな発想を生み出すのではないかとも言われています。しかし、簡単に新たな発想が生み出されるものではありません。
- 知覚した全てのものごとや事象は、個々人によって異なった意味で受けとめられます。個々人の中でも、その時の状況や置かれている立場によって異なった意味を持つことすらあります。
- ものごとや事象が知覚されたとしても、様々なバイアスによって受け止め方が異なります。そこから斬新なアイデアがひょっこり飛び出したとしても、例えば、正常性バイアス、確証バイアス、現状維持バイアスといった認知心理学で明らかにされている様々なバイアスによって拒絶されてしまいます。
こうした非生産的な事態を回避するためには、普段から、ビジネスに対して組織内に潜在するビジネスセンス(俯瞰し洞察して直観する能力)を高度化しておかなければなりません。それは、経営者、業務管理者、その企業で働く全ての個々人の全ての人にとって、同じように求められる能力であり、それが組織能力の源泉となります。
3.何故、「直観(ビジネスセンス)を共有」しなければならないのか?
3.1.直観(ビジネスセンス)を共有することで (1) 真の意思疎通を図る [協働による作業の効率を高める]
知覚した事象やものごとについてのビジネスセンス(俯瞰し洞察して直観する能力、あるいは、俯瞰し洞察した直観)を組織内で共有することによって、協働する夫々の人たちが、お互いの考えていることをこと細かに一から説明しなくても、夫々に今何をなすべきかを諒解し合いながら働くことができるようになります。これは、同調圧力や忖度とは異なり、お互いの真意を理解した上で納得し合って働けるようになるということでもあります。ここで重要なことは、ビジネスセンス(俯瞰し洞察して直観する能力、あるいは、俯瞰し洞察した直観)を共有することで真の意思疎通を図ることが可能になるということです。そしてその結果として、日々の業務を効率よく進めていくことができるようになります。
3.2.直観(ビジネスセンス)を共有することで (2) セレンディピティ “Serendipity” を巻き起こす [協働による創造性を高める]
知覚した事象やものごとについてのビジネスセンス(俯瞰し洞察して直観する能力、あるいは、俯瞰し洞察した直観)を組織内で共有することによって、お互いの考えていることをこと細かに一から説明しなくても、専門知識や考えていることの交流と交換が進み、様々な専門分野の人たちの間で セレンディピティ “Serendipity” を巻き起こすことが可能になります。
組織の創造性を高めていくためには、組織の中の内発的な交流を通して セレンディピティ “Serendipity” を巻き起こせる仕組みを構築し、様々に創発できるようにすることが必要です。
4.直観は組織能力 “Organizational Capability” に求められる「変化適合力」に直結する
知覚した事象やものごとについての直観(ビジネスセンス)を共有するということは、組織能力 “Organizational Capability” を発揮する根元でもあります。しかし、そのためには多様な分野での直観(ビジネスセンス)を持つ様々な部門の人たちの智慧を集めて、内発的な交流を通して協働し、創発していく仕組みが整っていなければなりません。しかし、組織内部から組織を変革することは至難の業でもあります。
当社では、組織変革感度分析ツール(組織変革感度分析(変化適合力の評価)) によって、組織変革の感度の視点から組織能力を評価し、「知覚した事象やものごとについての直観(ビジネスセンス)の交流と交換」を支援する仕組みを提供しています。
当社が提供する組織変革感度分析ツールの機能を以下に列挙します。
- 組織変革の視点から抽出した156のモデル施策について、どのように取り組んでいるかによって組織能力を評価するツールです。
- 組織能力マネジメント評価指標(“Well-being” を志向する組織文化と組織の中での働き方の評価モデルに基づいて組織能力を評価します。
- 認知心理学的要因、バイアス等についても評価し、組織変革を阻害する要因を如何に排除していくかについても評価することができます。詳細は変革に対して生じる葛藤(コンフリクト)を参照して下さい