ロジカルシンキング(論理思考)とは、主に、演繹的思考と帰納的思考である。
- 一般化した問題について因果関係が正しいと認められているなら、個々個別の問題にその因果関係を当てはめても正しく成り立つと考えるのが演繹的思考である。例えば、ある薬の成分がある病気に効くということが実証されており、ある人の病気の症状がその薬が効く病気であるなら、その薬は服用すべき薬と判断することができる。
- 一方、いくつかの個別の事例で因果関係が成立しているなら、一般的にも正しいと考えるのが帰納的思考である。例えば、ある病気の時にこの薬を服用するとよく効くという経験があると、他の人の同じ症状の病気の時にもこの薬は効く筈だと考えることができる。
ロジカルシンキングの限界
- その問題に対する捉え方の範囲や前提条件の設定が正しくなければ答えも正しく導き出されない。また、前提条件が異なる問題はうまく解決できない。
- 知見があまりなければ演繹的思考の結果も浅はかなものとなる
- 経験則に頼った帰納的思考では想定外の事象が起きた時に危うくなる
経営を考える上で真に重視しなければならないことは、むしろ、その問題に対する捉え方の範囲や前提条件の設定そのものである。組織の中では、鶴の一声や人事権を持つ人の声高な意見によって意思が決まってしまうことが多い。しかし、その場合、この「問題に対する捉え方の範囲や前提条件の設定」という仮定があるために、本来、認識されるべき問題が見過ごされ、認識されないまま内包されてしまう。人には、それぞれにものの見方があり様々な知見がある。組織の中に多様性があることではじめて「問題に対する捉え方の範囲や前提条件の設定」そのものが検証され、正しく論理思考が機能することが可能になるのである。