産官学、民々連携の制度

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産官学連携、官民連携、民々連携等といったフレームワークが導入される様になって久しい。 先端技術分野では、個々の企業等の経営資源だけは、米国や中国の巨額を投資した研究開発と競い合うことは難しい。また、競争しながら切磋琢磨していくことで技術は発展していくものであるが、同じテーマに対して個々の企業が夫々に重複して研究開発していくことは無駄である。それよりは、得手不得手の分野を補完しながら相乗してブレークスルーしていった方が良い。しかし、民々連携の仕組みは、株主の賛同を得なければ実現できないが、目先の利益を求める投資家の理解を得ることは極めて難しい。 一般に、産官学や官民連携のフレームワークでは、官が主導することになるが、官自体が縦割りの構造で夫々に縄張り意識が強く、ここに非合理性が発生してしまう。そこで、政治がリーダーシップをとって国家戦略として一本化して取り組んでいこうということになるが、小さな器の中での取り組みにプレーヤが増えただけで、より混迷の度合いが深くなっていく。また、国や行政が絡んだ連携を動かしているのは認可制度と補助金等の仕組みである。税金を投入することで、産官学連携、官民連携の活動への縛りが強くなってしまい、すぐには目に見えた成果を得られないディスラプティブなイノベーションは興しにくくなる。 未来社会に向けた価値を創造し、社会の持続可能な発展を実現していく上で、産官学連携や官民連携のフレームワーク、投資や融資の仕組みを踏まえた民々連携のフレームワークは絶望的に機能しない。こうした状況にあって優秀な人材も海外に流出していく。今は、まさに、成熟社会の負の連鎖に陥っており、こうした状況をブレークスルーする画期的な変革が社会の中に起きないと、日本という国は廃れてしまう。 しかし、未来社会に向けて希望的な胎動が起き始めてもいる。ポスト・ポストモダン社会にあって、官僚になることにも企業に雇用されることにも夢を持てず、独立して起業しようという若者が増えている。企業の動きの遅さに嫌気をさして退職し起業する人達も増えている。こういた組織に属さず自立して内発的に自律行動できる人達が、同時に複数の仕事に携っていく社会になっていけば、社会構造そのものが大きく変化していくことになる。社会構造の変化は、大きなブレークスルーを生み出すきっかけとなると考えられる。


【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. 20世紀の経営モデルにおいても、経済合理性を基本原理とし、契約によって産官学連携、民々連携が図られてきた。
  2. 21世紀型の経営モデルでは、企業は社会の一員として社会とつながり、社会と企業と従業員が一体化してつながっていくために、生きていくことに対する深層にある真実の知を学習していくことになる。
  3. 機械が深層学習によって進化していくとともに、人は、緩いネットワークの仕組みにより知をつなぎ協創していく。この知をつなぎ協創していくネットワークにより、人は、組織学習をして進化していく。

【未来における社会的価値の創造】

  1. 21世紀型の社会モデルでは、人や組織はネットワークによって緩くつながっていく。
  2. 産官学連携、民々連携は、未来社会の価値を創造していくためのテーマとなり、経済合理性を追求することよりも、社会の公益性や社会的課題解決に向かっていくことになる。
  3. 契約だけでは連携できず、未来社会の価値を創造という視点から、存在目的そのものをよりどころとした信頼による連携、信頼による統制の仕組みが根底に必要となっていく。
  4. これまでの経済合理性だけの連携では、コーポレートブランドを低下させてしまう。


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