「国と地域社会、企業、消費者が負担するコストバランスを図る」の版間の差分
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2018年6月29日 (金) 03:51時点における最新版
日本経済は成熟化し、また、高度経済成長を支えてきた多くの産業は、グローバル化しオープン化されたボーダルスの低価格競争にさらされている。国や地方の財政も赤字国債に頼り切っており危機的な状況に瀕している。そうした中で、企業も自立しなければならないが、国や地方の財務支援に頼っている部分も多い。これからは、公共投資、補助金、助成金に頼らない自立した経営感覚を醸成することが必要である。 日本の戦後の高度経済成長を支えた仕組みは、官主導の護送船団方式による産業の育成だった。一方、欧米先進国の経済成長を支えたのは投資家による投資であり、市場原理に基づいて成功を収めていく体験である。そして、幾度の経済摩擦の結果として、日本のこうした護送船団方式は解体され、欧米流の投資の仕組みと市場原理を是とする考え方の導入が進んでいった。 官主導の護送船団方式による成功体験は今でも日本人の心の奥底に残っている。先進的な事業に対しては、国家戦略として多くの資金が補助金として投入され、中小企業の研究開発や市場開拓に対しても、国は自治体の支援事業として税金が投入され続けている。また、こうした補助金や助成金をできる限り確実により多くの額を受けるためには、行政手続きに対するノウハウも必要となり、そうしたノウハウを提供するコンサルティングサービスもビジネスとして形成されるに至っている。 しかし、国や地方自治体の財政難の状況にあって、企業は自立しなければならない。米国等の様に軍事産業に関わる研究開発に巨額の予算が投入される訳ではなく、日本は平和国家であり民間分野での新産業の育成が必要である。一企業の一事業の成功だけを考えていては日本の未来は暗い。経済成長を支えるだけの力を持ちうるのは、ディスラプティブ・イノベーションであり、企業は独自の経営努力で知恵を絞り、イノベーションを興す思考から新事業の種を大きく育てていかなければならないのである。
【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)
- これまでは国が公共投資を行うことで経済刺激策としてきた。この場合、社会的資本財である社会インフラへの投資に偏ってしまう。また、軍事分野への巨額の投資が行われることで、世界中に武器が拡散していく。
- 過去における景気刺激策として発行された国債等の借金が膨れ上がり、財政の悪化を招いている。
- 少子高齢化や高度医療化により社会保障費が増大し、悪化している財政の負担となっている。
- 国や地方における産業育成のための補助金や助成金の制度は必要である。しかし、こうした制度に頼る民間企業の体質が日本企業の競争力低下を招く危険性がある(かつては、官庁主導による護送船団方式が日本の強みでもあった)。
- これまでの様にモノを作って売ればよいというのは通用しない社会となっている。地球環境の保護や循環型社会化へのコスト負担も大きくなっていく。
- 低賃金によって人件費を削減し商品の価格競争力を競うことで、経済格差を生み出していく。
【未来における社会的価値の創造】
- 公共投資、補助金や助成金制度に頼らず、民間企業が事業を回転させていくことで事業を拡大していく、すなわち、民間企業の自立が必要である。
- 地球環境の保護や循環型社会化へのコスト負担、低賃金により実現した安価な商品の利益の分配等、国や地方自治体、企業や投資家、消費者がコストをどの様に負担していくか、コストバランスの見直しが必要な社会となっていく。
関連事項
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