「ネオモノづくり文化の社会になる」の版間の差分

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日本人は「匠」や「モノづくり」という言葉が大好きであり、そこにはなんとなく郷愁を感じてしまう。また、高度経済成長をけん引したのは「匠」や「モノづくり」の技術であり、これからも日本という国を支えてくれるものと信じている。高度経済成長期に活躍したOBたちの中には、自分達が築いてきた「匠」や「モノづくり」の技術を次の世代に引き継いでいかなければ日本の社会を支える産業は危うくなると危機感を募らせている人も多い。
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「匠」や「モノづくり」の技術を支えているのは、他者はモノに対するきめ細かい心遣いでもある。しかし、地方での過疎化(限界集落化)と都市化により人々は孤立し孤独化が進んでおり、こうしたきめ細かい心遣いをする場が失われつつある。また、成果主義が導入されることによって、「自分さえ良ければよい」「目標を達成しさえすればよい(言われたことをやればよい)」という風潮となり、お互いに助け合って働く働き方の環境も壊れている。
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日本人は組織の結束力で行動すると力を発揮する傾向があり、個々の力ではなし難いことでも力を合わせて壁を乗り越えていくことに長けている。その根源にある思考(行動湯式)は他者へのきめ細かい心遣いであり、お互い様という気持ちで献身的に働くことを厭わない。これは契約主義が染みついた人たちには到底理解できないことである。グローバル化が進むに連れ、こうした日本人の思考様式に異を唱える人も多くいるが、決して否定する必要はない。
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グローバル化の中で日本が埋没すると危惧する原因の顕著な例として、過去の失敗事例を取り上げて日本人の特性を卑下することもできるが、日本における失敗の多くは、トップリーダーが未来社会全体を捉えた展望やビジョンといった構想力に欠け、また、ミドルマネジメントにいる人たちが、組織の中での保身に腐心し、今ある組織を守ることばかりに執着した時に起きている。こうした状況に陥ると、日本人の組織の中で献身的に心遣いをもって働く日本人の特性は、ひたすら失敗へと向かって作用してしまう。
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一方、今の日本人は、かつての会社人間からクオリティオブライフへと向かい、多様性を重視していこうという意識へと発展してきている。複業化やフリーランスとして生きていこうという人も増えてきており、地域コミュニティやボランティア活動への参加や社会的課題に挑んでいる人も多く、また、リアルワールドだけでなくバーチャルワールドでも、色々なつながりを持っていきている。そして、新たな環境の中で、日本人の心遣いのある働き方や思考様式は受け継がれている。
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こうした社会的存在となることによって、日本人には、個々人が自立していく意識が高まってきている。情報技術が普及した現在においては、先を読み解いていく情報がトップリーダーに偏ることはなく、むしろ、個々人が多様な視点から情報を捉え、社会環境に直接触れてなすべきことへの知識を獲得している一人ひとりとして、創造すべき未来社会の価値を認識している。高い意識を持つ個々人が、他者への心遣いを持って、お互い様の気持ちで献身的に協働していくことで、未来社会に向けての価値を創造していくことができる。そこには、欧米流の分権化や集権化、エンパワーメント、権限委譲といったマネジメントの考え方は、もはやそぐわない。
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契約主義の国の人たちと比べ、もともと他者へのきめ細かい心遣いを持って協働して結果を出していく素養が身についている日本人にとって、新たなモノづくり文化の社会、すなわち、ネオモノづくり文化の社会が近づいてきている。それは世界に対して誇れることであり、今度は、モノづくり文化の社会に根付いている思考を世界に広げていく番である。
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【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)
 
【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)
 
#社会が成熟化しモノの消費よりもコトの消費に向かっている。
 
#社会が成熟化しモノの消費よりもコトの消費に向かっている。

2018年7月15日 (日) 11:17時点における最新版

日本人は「匠」や「モノづくり」という言葉が大好きであり、そこにはなんとなく郷愁を感じてしまう。また、高度経済成長をけん引したのは「匠」や「モノづくり」の技術であり、これからも日本という国を支えてくれるものと信じている。高度経済成長期に活躍したOBたちの中には、自分達が築いてきた「匠」や「モノづくり」の技術を次の世代に引き継いでいかなければ日本の社会を支える産業は危うくなると危機感を募らせている人も多い。 「匠」や「モノづくり」の技術を支えているのは、他者はモノに対するきめ細かい心遣いでもある。しかし、地方での過疎化(限界集落化)と都市化により人々は孤立し孤独化が進んでおり、こうしたきめ細かい心遣いをする場が失われつつある。また、成果主義が導入されることによって、「自分さえ良ければよい」「目標を達成しさえすればよい(言われたことをやればよい)」という風潮となり、お互いに助け合って働く働き方の環境も壊れている。 日本人は組織の結束力で行動すると力を発揮する傾向があり、個々の力ではなし難いことでも力を合わせて壁を乗り越えていくことに長けている。その根源にある思考(行動湯式)は他者へのきめ細かい心遣いであり、お互い様という気持ちで献身的に働くことを厭わない。これは契約主義が染みついた人たちには到底理解できないことである。グローバル化が進むに連れ、こうした日本人の思考様式に異を唱える人も多くいるが、決して否定する必要はない。 グローバル化の中で日本が埋没すると危惧する原因の顕著な例として、過去の失敗事例を取り上げて日本人の特性を卑下することもできるが、日本における失敗の多くは、トップリーダーが未来社会全体を捉えた展望やビジョンといった構想力に欠け、また、ミドルマネジメントにいる人たちが、組織の中での保身に腐心し、今ある組織を守ることばかりに執着した時に起きている。こうした状況に陥ると、日本人の組織の中で献身的に心遣いをもって働く日本人の特性は、ひたすら失敗へと向かって作用してしまう。 一方、今の日本人は、かつての会社人間からクオリティオブライフへと向かい、多様性を重視していこうという意識へと発展してきている。複業化やフリーランスとして生きていこうという人も増えてきており、地域コミュニティやボランティア活動への参加や社会的課題に挑んでいる人も多く、また、リアルワールドだけでなくバーチャルワールドでも、色々なつながりを持っていきている。そして、新たな環境の中で、日本人の心遣いのある働き方や思考様式は受け継がれている。 こうした社会的存在となることによって、日本人には、個々人が自立していく意識が高まってきている。情報技術が普及した現在においては、先を読み解いていく情報がトップリーダーに偏ることはなく、むしろ、個々人が多様な視点から情報を捉え、社会環境に直接触れてなすべきことへの知識を獲得している一人ひとりとして、創造すべき未来社会の価値を認識している。高い意識を持つ個々人が、他者への心遣いを持って、お互い様の気持ちで献身的に協働していくことで、未来社会に向けての価値を創造していくことができる。そこには、欧米流の分権化や集権化、エンパワーメント、権限委譲といったマネジメントの考え方は、もはやそぐわない。 契約主義の国の人たちと比べ、もともと他者へのきめ細かい心遣いを持って協働して結果を出していく素養が身についている日本人にとって、新たなモノづくり文化の社会、すなわち、ネオモノづくり文化の社会が近づいてきている。それは世界に対して誇れることであり、今度は、モノづくり文化の社会に根付いている思考を世界に広げていく番である。


【認識すべき課題】 (時代背景、社会問題と背景要因)

  1. 社会が成熟化しモノの消費よりもコトの消費に向かっている。
  2. モノに付随するサービスではなく、サービスを実現するためにモノがあるという発想に転換しつつある。
  3. マスカスタマイズとなり、大企業では対応できない多種一品生産を小さな企業が担っていくことになる。
  4. 利便性や経済合理性ばかりでなく、社会的課題解決を意図した製品が求められる様になる
  5. ローエンドの持続的イノベーションは、オープンテクノロジーにより安価に大量生産されていく。
  6. 3Dプリンター技術により図面さえあればモノを作ることができる様になってきた。
  7. 分子工学やナノテクノロジーの進化により新たな素材が開発されていく。
  8. ムーアの法則の限界により、半導体技術はポストシリコンの時代に入りつつある。
  9. IoT、ロボットや人工知能技術は、職場、及び、社会生活への適用の場を増やしつつある。ロボットや人工知能が担うべき仕事の役割分担をすることで生産性が向上する。
  10. 経済合理性の発想によらず、ウェルビーイング、クオリティオブライフの発想に根差した産業への転換を図っていく。

【未来における社会的価値の創造】

  1. 高度経済成長期に育まれたモノづくり文化から、さらに、社会的課題解決への思いを発想の原点としたコンセプトの製品のモノづくりとなっていく。
  2. 新素材やナノテクノロジーによる新たなモノづくり、ポストシリコン時代のモノづくりとなる。
  3. 3Dプリンターやオープンテクノロジーで生産できるモノづくりとマスカスタマイズで生産できるモノづくりの2極化していく。


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