社会の変化にともない組織も変化させて適応していかなければなりません。しかし、それ以上に必要なことは、社会のあるべき方向性を思考して、自ら進んで社会を変革していく組織を創ることです。
これからの組織の向かう方向とは
今、世界では、多様性と包摂性を重要視しようという方向に向かっています。人権や自然環境保護の意識が高まっています。経済合理性ではなく、未来の社会を考えて、自分だけではなく同じ地球上で暮らしている人たちも、そして、今の世代の自分たちだけでなく将来の世代の子どもたちの世代にも豊かに暮らしていける権利を大切にしようという方向に向かっています。
これまでの組織は、20世紀に確立された大量生産・大量消費社会を実現するための組織で、経済性や効率を重視した上意下達型の考え方の下で作られてきました。しかし、多様性と包摂性を重要視する社会においては、経済性や効率、上意下達型の考え方だけでは成り立ちせん。むしろ、多様な価値観を持った一人ひとりが、周りの人たちと目的を共有しながら、自律的に行動できるようにする ことが重要となります。
具体的な組織づくりの指針
日本人の特性は、集団思考であり、集団の秩序、制度、組織を守っていくことが暗黙のうちに最優先と意識されます。また、優れた知識を取り入れて、改善し、独自のものを生み出していくことにも長けています。
この特長を生かした創造性のある組織へと変革していくためには、多様な価値観を持った一人ひとりが、周りの人たちと目的(新たな豊かさを創造していく戦略)を共有しながら、自律的に行動できるようにする ことが必要です。これからは、単に個々人の成果ではなく、組織として結果を出していく組織づくりをしていかなければなりません。
- 新たな豊かさを創造するという目的のために、周囲の人たちと目的を共有して行動する組織にする
- 共有した目的の実現のために、個々の人たちがチームとして活動し結果を出していく組織にする
- 目的を共有することで、一人ひとりが率先し自律して行動し、相乗して結果を出していくチームワークを育んでいく
『組織の変革』 それは、内発性、自律性で結果を出していく組織づくりから始まります
新型コロナウイルスの世界的感染拡大(パンデミック)をきっかけとしてテレワークの導入が進みました。そして、その効率的運用のために、また、世界のグローバル企業と競争していくための人材確保戦略として、ジョブ型の雇用、成果主義の導入が進められてきています。そして、過重労働にならないため、モラルハザードを起こさないために、どのように管理したらよいか模索が続いています。
新たに採用された若い世代の人たちにとっても、「何をしなさい」「こうしなさい」と指示されて働くことの方が楽だとも思われます。しかし、ミレニアル世代の若者は、元々、多様な価値観をもつようにと育てられた人たちです。自ら考えて行動することに慣れた人たちであり、「一律一様でなければならない」「指示されて働くものである」という20世紀型の経済合理性に基づく働き方の先入観を取り払えば、そうした人たちは新たな価値を創造しうる存在となります。
多様性と包摂性を重要視する社会の価値を創造する全人格としての人事評価
単に、成果ではなく、これからは、①周囲の人たちと目的を共有し、多様性と包摂性を重要視する社会の発展に資する新たな価値を創造する全人格として、②その目的の実現に向けて自律して行動した結果を評価しなければなりません。