情報を共有する能力

  • 情報を共有する能力
    1. 他人事ではなく、ビジネスエコシステム全体を覗き込んで情報を収集していること。
    2. 「知の探索」と「知の深化」の両方を共に行えること。
    3. オープンに上下双方向/組織横断に情報にアクセスできること。
    4. 個々人が得た情報を自発的に発信し、組織の中で忌憚なく議論し精査し得ること。
  • 前提となること
    1. データに基づいて行動する組織であること。
    2. 情報の非対称性の文化が取り払われていること。
    3. 縦割りではなく組織を横断して協働する文化であること。
    4. 上下双方向のエンゲージメントとエンパワーメントによって個々人の行動が担保されていること。
    5. 数値に基づいて客観的に組織内の状況を理解して行動すること。
    6. 透明性を持って公平で公正に行動すること。

1.「情報を共有する」ことの位置づけと構図

『情報を共有する』は「ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” (真の意思疎通)」を実現するための「6つの共有 “Sestet Sharing Methods” 」の一つです。

ここでの「情報」は、当然のことながら、個々人のプライバシーに関わる情報ではなく、また、個々人の主観や主張に基づくもの、あるいは、個々人に対する批判でもなく、将来の社会を俯瞰し未来構想のための知の探索(先見的探索、発見的探索、生成探索、仮説と検証)と未来構想実現のための知の深化(来の持続可能な社会の発展への洞察、仮説と検証)して得られたものでもあり、さらに、客観的な合理性、根元的な普遍性、倫理的な正当性から評価し、懐疑的に、また、内省して精査した結果として得られるものである

1.1.打つべき施策に対する意見の対立(対立点のデザイン)

人にはそれぞれの思いや考えがあり、社会の問題を解決して社会貢献すると言っても、あるいは、長期的な視点から持続可能な収益拡大を図ると言っても、打つべき施策に対する意見の対立は必然的に生じます。そこで、多様性を重視して「真の意思疎通」を図るためには、まず、対立点をデザインする というプロセスを経ることが大事になります。上図の例では、同じ見える化を意図してはいるものの、KPIによるマネジメントを志向した「表層から捉えた経営」と人の行動や物流に関わるイベントのリアルタイムでのマネジメントを志向した「人の内面を重視した経営」のどちらのマネジメントを重視するかとという視点からの葛藤を例示しています。

1.2.対立点の解消

どんなに議論を尽くしても対立点を解消することができないことがあります。「情報を共有するための真の意思疎通」となるためには、「私の問題認識はこうで、こうすれば解決できるはずで(仮説の設定)、そこにはこういう論拠がある(検証)」というやりとりが必要です。当社ではこのやりとりを『仮説と検証による議論』と呼んでいます。
『仮説と検証による議論』はディベート(相手を打ち負かす討論)ではありません。多様性や社会的包摂が求められる今日においては、お互いの思考をリスペクトし受け容れることが大事であり、その上で、対立点を明確にして結論を出していく議論が求められています。そして、このために、人類の叡智が見出してきました「対立点を明確にして結論を出すための議論」の方法論を活用することにならります。

  • 結論づけずに、一旦、棚上げして対立点をリデザインして妥協点を探る(二項対立と脱構築)
  • 折衷案でもWin-Winでもなく、より普遍的に掘り下げて根本的に解決する(二律背反とアウフヘーベン)
  • 「Aでもあり¬Aでもある、より高い視点から全体を俯瞰して、他者を否定せず、本質的な論点で融和を図る(即非の論理)

2.ワイズ・コミュニケーション “Wise Communication” のために具備すべき組織の能力と施策のチェックポイント

  • 情報を共有する能力の基盤
    1. 社会を俯瞰した視点で情報を捉える意識が身に着いている。
    2. 多様な視点から情報を捉える意識が身に着いている。
    3. 情報を公正公平な視点で正しく解釈する習慣が身に着いている。
    4. 人権や著作権に配慮して情報を扱う習慣が身に着いている。
    5. 情報セキュリティに関するリテラシが身に着いている。
  • 情報を共有するための施策
    1. 組織内で情報を共有するセキュアな環境を構築する。
    2. 情報システムの運用規定、情報活用に関わる行動規定を定める。
    3. 誰もが参加でき、誰もが情報発信し、発信された情報を組織内で受容することをルールとして定着させる。
    4. 経営と現場の間でいつでも開かれた双方向のオープンコミュニケーションツールを用意する。
    5. 情報共有についての評価制度をデザインし公正公平に評価する。
『情報を共有する能力』にご興味のある方は サステナブル・イノベーションズ株式会社宛に お気軽にお問い合わせ下さい。