SNSは社会生活の全てを変革してきた。そして、社会への普及と生活の中への浸透が進めば進むに連れて、その進化は加速していくものと思われる。
10年と経たないうちに、人々は、お財布やカードを持ち歩くこともなくなるだろう。スーパーやコンビニもお店に入って必要なものをトートバッグに入れてお店のゲートをくぐるだけで決済も済んでしまう。自動的にレシートも自分のデータベースに蓄積され、家計簿も自動的につけてくれる。買い物リストを作るまでもなく、冷蔵庫や棚に何がどれくらい残っているかも遠隔からチェックもできる。
災害に遭った時の救助要請だけでなく、逃げ道のナビゲーションもしてくれるに違いない。事故が起きた時の対応も即座に済ませてくれるに違いない。ウェアラブルコンピュータと連動して、体調が急変して意識を失った時にも救急車を要請する等の対処もしてくれるだろう。
指先での操作よりも声で操作することも多くなり、遠くにいる人たちに声がけするだけで、電話会議が簡単にできてしまうだろう。電話会議の画像設備がなくても、アバター動画が表情を含めて演じてくれる。もう一つの障壁は言語や知識であるが、言語は同時通訳で進行できる様になる。理解できない言葉も、会話している相手に知られることなく、疑問に思った瞬間にAR技術を使って知ることができる。仕事をしている時も、知識ベースにつながっているアシスタント(画像として映し出された対話型ロボット)と会話しながら、作業を進めることができる。
唯一、入学試験ではSNSで知識検索できない唯一の情景となるかも知れない。しかし、個人とソーシャルネットワークシステムが一体化したものがその人のアイデンティティとなるとすれば、むしろ、知識を問う試験はなくなり、その人の知性や創造性、人間力を問う試験に移行させていくきっかけにもなるかも知れない。
ソーシャルネットワークシステムは、人々の活動を便利にしていくだけでなく、習慣、行動や仕草、思考の仕方そのものを変えていくことになる。今ある生活様式が少しずつ変わっていくだけでなく、10年も経ってみるとドラスティックに変わってしまったと感じられるのかも知れない。未来社会の持続可能な発展を創造していく上でこの分野の進化は、今のあり様に囚われることなく、社会生活全体のドラスティックな変化の姿で捉えていかなければならない。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一