これまでの働き方改革の主な論点をまとめると以下のようになる。
・雇用のダイバーシティ(女性の雇用、高齢者雇用、昇進機会の平等)
・時間、場所に拘束されない働き方(テレワーク)
・働き過ぎ防止(ワークライフバランス、長時間労働削減、週休三日制等)
・同一労働同一賃金
・育児休業制、介護休業制
・副業(複業)、フリーランス
・一人ひとりのニーズに合った人材育成、教育環境の整備、キャリアパス
働き方改革というと、どうしても制度面の言葉がクローズアップされてしまう。確かに、働き方改革への積極的に取り組み制度が充実しているということで、企業は優秀な人材を集めることができる。しかし、働き方改革は、そんな外面的は体裁を繕いさえすれば良いというだけのことではない。
働き方改革はまた、低いと言われている日本の企業の生産性向上にもつながると期待されてもいる。しかし、現状では、日本のサービス業における労働生産性の低さが問題となっている。この問題の本質は、有価証券報告書にあらわれる指標値の良し悪しではなく、また、効率の向上を図ることで利益率を高めさえすれば良いという問題でもない。
当面のビジネスにおける働き方改革の目指すゴールは、競争力のある商品を提供する能力を身に着け、かつ、その企業の職に就いて働いていくことで未来に夢や希望を持てるようにすることである。そしてそうした取り組みこそが、雇用を増やし、デフレマインドの根底にある将来への不安を払拭して経済を再生させる効果的な手立てとなる。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一