#96 問題認識に潜む真の問題を認識する

 #95のコラムで「問題に対する捉え方の範囲や前提条件の設定」に問題があるため、経営において論理思考が機能しないことを示した。
 このことについて、本コラムの筆者は、組織のダイナミズム研究委員会(2017、第3章)「第3節 自ら考えて行動するための共通基盤の構築-(d)(ⅱ) 問題をどう認識するか」において、『企業経営においては、例えば、売上や利益が減少したという事実は共有され、共通の問題として認識される。この問題を深堀するために“何故-何故-何故…”を繰り返して自問していくと、根本的には組織文化の問題に行きつくことがある。しかし、そうした場合でも、組織文化そのものの問題には触れることなく、あるいは、自らの組織の在り様が社会変化の中でどう変革していくべきか思考することなく、短期的な改善に終始してしまうことがある。そして、こうした過程を経て 問題認識の問題が内在化されていくのである。』と指摘している。

 問題の所在は、経営の目的を達成するための目標と事実との間に差異があることを認識することで白日のものとなる。しかし、多くの場合、問題認識の問題は、問題意識が無いことにより引き起こされる。そして、この「問題意識が無いことにより引き起こされる問題」は、実は、企業の将来を左右しかねない深刻な問題である。
 では、なぜ、問題意識が欠落してしまうのか? 同様に、本コラムの筆者は、組織のダイナミズム研究委員会(2017、第3章)「第3節 自ら考えて行動するための共通基盤の構築-(d)(ⅱ) 問題をどう認識するか」において『事実に直面してもなお、①その事実に関心がなく見ていても見えない(見過ごしてしまう)、②不愉快なことに背を向けてしまう、③目先のことだけに囚われて深慮遠謀の問題については先送りして何も考えない、④きめ細かな心遣いができない、⑤想像力が不足して問題を認識するに至る思考がなされていないことにより生じる』としている。

 未だ見えていない将来のこと、目の前に見えているその先に潜んでいることを見通す能力は個人差がある。しかし、企業のかじ取りをする経営においては、問題認識が欠落するという問題を回避する術を心得ていなければならない。

参考文献
組織のダイナミズム研究委員会,『組織のダイナミズム』(副題:幸せな組織を求めて),アマゾン(kindle本), 2017.

詳細はアマゾンの下記ページをご参照ください。
  https://www.amazon.co.jp/dp/B0754DKGVD/ref=sr_1_1?s=digital-text&ie=UTF8&qid=1503684856&sr=1-1

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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