最近は、ビッグデータという言葉が流行っています。ビッグデータがあれば、何か分からないけれど、誰も知らない新たな気づきが起きて、ビジネスを劇的に変えてくれるのではないかと期待が膨らみます。
しかし、データそのものは意味を持っていませんし、データが何かを積極的に語りかけてくるという訳でもありません。
人間が、仮説(hypothesis)を立てて、データでその仮説(hypothesis)を検証するというのが正しい理解の仕方です。そこでは、主に、統計解析手法が使われます。
統計解析手法では、また、仮説(hypothesis)を導き出すための探索的データ解析という手法もあります。この手法では、データで捉えうる表面化した事象の深層にある原因をあぶり出します。
そして、こうした統計解析手法を駆使したデータ分析のスキルを持った“データサイエンティスト”という人達のニーズが高まってきています。
一方、仮説創造(アブダクション)は、思考方法の一つと言えます。その目的は、単なる“事実の発見”ではなく、そこに隠された原理の探究であり、奥深い洞察により創りうる “モデルの創造”ということになります。
仮説創造(アブダクション)は、探索的データ解析手法によって仮説(hypothesis)を導き出すばかりではありません。むしろ、データが存在しない未来についても、変化の兆しから[思考](ある意味、勘を働かせて)により、仮説を創造することすらあります。
仮説創造(アブダクション)は、また、当該事象に限らず、ものごとの生起する所以の仕組みを抽象化した“モデル”を構築していくために、例えば、システムダイナミックス等の手法も活用したりします。
そこで本冊子では、仮説(hypothesis)を導き出す[思考]との違いを鮮明にするために、“仮説創造(アブダクション)”と表記することにします。
ここで、施策を探索し創造する仮説創造(アブダクション)の思考プロセスのモデルを下図「SAF:Situation Analysis Formula」 に記します。
次回のコラムでは、この SAF “Situation Analysis Formula” について、詳細に考えて参ります。
※[経営][意思決定]等は[思考]という視点で捉えているという意味を持たせて、[ ]をつけて記しています。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一