企業がその使命を果たしてビジョンを実現するには経営戦略が必要である。しかし、普遍的な経営戦略というものは存在しない。経営戦略は、経営環境の変化や競合との関係、供給チャネルや販売チャネルとの関係、持っている経営資源等の複合する要因に対して、総合的な視点に立って合理性をもって策定されるからである。一方、経営戦略を策定し施策を展開し実行するのは全て人であり、そこには様々な葛藤が生じる。組織能力を充分に発揮して戦略を実現するには強力なリーダーシップが必要である。経営者が下記の何れの視点に立ってリーダーシップをとるかによって、その企業の未来も、関わる人々やその家族の将来も大きく左右される。
(1) 組織に関わる人々に機能と目標値、報酬を厳格に割当てて成果を求めることで、経済性の限界を追求する
(2) 組織に関わる人々が自律的に連携して、変化した市場に適応して優位性を築いていく
(3) 組織に関わる人々が自律的に連携して、新たな創造を行い市場をも変化させていく
これからの経営においては、経済合理性の追求のみならず社会的課題の解決にも取り組むべきだとする社会的認識がこれまで以上に高まっている。こうした経営を取り巻く社会環境の変化にあっては、組織に関わる人々は自らの経験にない多様な知識の実践を求められる。これからの経営者は、自律能動的に協調して新たな創造を行うことのできる多様な人々を組織の中に育んでいかなければならない。