私達は、小さな子どもの頃から知識化されたものを詰め込まれ続けている。分からないことは観察して分析し法則を見つけなければならないと思い込まされてきている。 しかし、暮らしそのものは、そんなに難しく複雑なことではない。寝て起きて、食事して、働いて、勉強して、遊んで、などなどの繰り返しである。
文化人類学の調査の方法にエスノグラフィーというものがある。対象の人(調査対象の集団に属する人)の行動をひたすら追い続け観察してヒントを得るのである。
我々は、自分や自分達のことだから、日課にせよ、特別の日(ハレの日、あるいは、どんなハレの日があるかも含めて)、自分達の日常の行動を思い返してつぶさに描いてみればよい。
全ての人は、誕生し成長し成熟し老化し死んでいく。もの長い年月の中で日々の行動は、単純な生活のルーチンとして描くことができる、すなわち、材料となるものや道具を購買(入手)し、自分の必要なものに加工して創造(例えば、料理)し、それを消費(例えば、食事)し、不要になったものは廃棄するという流れである。
ただ、世帯の構成、一人での行動/友人との行動/家族との行動、ライフスタイル、健康/妊娠/闘病/看病/介護の生活の下での行動といった状況(コンテクスト)が異なる。また、その時々で、あるいは、様々なコンテクストの中で、リラックスした雰囲気や、急いだりゆっくり時間をかけたり、団欒としてだったりする。
活動の場も夫々のコンテクストの中でのバリエーションに大凡の規定され、信条や心理、習慣、五感覚、トレンドなども影響し異なるパターンを経ることになる。
しかし、総じてこれら暮らしの中のストーリーは形式化(テンプレート化)して描くことができる。すなわち、「自分/誰かの、何かのために、誰と、いつ、どこで、○○する。その際、◎◎を感じて、●●を思って(慮って)、こうする。」で表現すれば良い。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役 池邊純一