#10 見透せる化 (2)  法規制、税制、商習慣、経営環境の変化を捉える

経営環境の変化を思いつきで考えていては、また、その場、その時の状況を表面的に捉えていたのでは、根本的な対応策は打てない。社会のトレンド、業界のトレンド、暮らし方のトレンドを体系的に分析して、問題の深層、問題の構造を捉え、何が重要で、どの問題が根本的であって他の問題に影響を与えているか、その解決が他に影響を与えうるかを捉えて戦略を構想することが必要である。
法規制は、業種に応じて様々にあり、事業を展開するには当たり前の背景知識として十分に理解されていなければならない。しかし、法規制がどのような時代背景、どのような社会的要請によって制定され、どのような要請によって改正されてきたかといった系譜も捉えておくことが必要である。規制というものは時間が経てば形骸化し、技術が進歩し社会の常識が変われば、無用になることもある。そして、無用になり形骸化した法規制は廃止され、或いは、社会の要請に即して改正(緩和)されていくことになる。今ある法規制を前提とした事業を考えてばかりいると、先々に規制緩和されたときに、すぐには対応できない。規制の系譜を先読みして戦略を考えることが必要である。

 

現在は、業界や業種を越えた競争の時代である。これまでの商習慣を前提として固定的に考えていると、海外企業や業種を越えて参入してきた企業が、これまでの商習慣の枠を破って競争を仕掛けてきたときに対応できいない。今や、ビジネスエコロジーとして捉えられる時代である。環境が変化しても生き残れる戦略、持続可能な成長を描いた戦略を構想しておくことが求められている。
社会に右肩上がりの成長をするだけの “のりしろ” がある間は、誰もが同じ成長目標に向かっていく。しかし、社会全体が “成長ののりしろ” を埋め尽くして飽和した状態になっていくと、成長の先に見える共通の目標は失われ、人々は夫々の目標を追求しはじめ、個性を大事にする時代、多様性を大切にする時代がやってくる。安心・安全を求める要請は一層強まり、よりきめ細かく厳しくなっていく。日本だけでなく世界全体も、早晩、そのように進んでいく。何を重視し、何を根本的なこととして捉えるべきか、社会のトレンド、業界のトレンド、暮らし方のトレンドのキーワードの方向性は、この大きな趨勢で捉えると良い。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役 池邊純一

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