先のコラム「#302 創造意欲に燃える職場に変貌させるコミュニケーション」、及び、「#303 意思疎通+意志疎通ができるコミュニケーション」において、組織におけるコミュニケーションの要件を示してきました。
当コラムでは、これらの要件が満たされたコミュニケーションによって何が起きるかを考えてみます。
- 社会を俯瞰し、成すべきことの目的を掘り下げ、客観的に多様な視点でものごとを捉え、反対する人の意見をも推し量ったコミュニケーションを想像して下さい。このコミュニケーションは創造意欲を掻き立てます。
- 組織や自分たち自身の目的、目指していく姿、ロジック、ビジネスセンス、実現の状況、知的情報を共有して交わされるコミュニケーションを想像して下さい。このコミュニケーションによってお互いに意思疎通が図られます。
このコミュニケーションを交わす人たちは、社会的に自立し自律行動への意識を持った人たちです。ビジネスチャンスになりそうな事象、あるいは、リスクになりそうな事象に接した時に、この人たちは、間髪を入れずコミュニケーションを始めるでしょう。そして、他人事ではなく自分事として課題を洗い出し連携して解決すべく次から次へと前向きなアイデアを生み出し、みんなが納得し腹落ちする対応策を見出すことでしょう。
意思疎通し意志疎通するコミュニケーションは「リフレクション」を引き起こすこと
このようなコミュニケーションによって納得し腹落ちする対応策を見出すことを「リフレクション “Reflection“」と呼ぶことができるでしょう。「リフレクション」は哲学や社会学の分野で使われる言葉ですが、日本語に訳すと反響、反映、映像、熟考、内省などの意味があります。経験的には、自らに振り返って感じ取り、自らの思考回路に組み込まれなければ「リフレクション」にはなりません。
そもそも、意思疎通し意志疎通するコミュニケーションは「リフレクション」を引き起こすことが目的であるとも言えます。
超高生産性のコミュニケーションの実現に向けて
世界一を競っていた組織で働いていた時の筆者の経験では、このようなコミュニケーションが行われる組織の行動は素早く、試行錯誤を繰り返しながらでも、結果的には、短期間に結果を出していたと記憶しています。まさに『超高生産性』が実現されていたのです。
世の中には、何も決められない会議を延々と繰り返しているといった状況が多くあるのではないでしょうか。そうした生産性の低い状態を抜け出すためには、上記1、2のコミュニケーションを行えるようにすること、コミュニケーションに参加する人たちの意識を自律行動に変容させていく必要があります。
サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一