#295 戦略眼と現実解 企業経営として社会的価値の創造にどのように取り組んでいけば良いのか?

何故、企業に「社会的価値」の創造が求められるのか(再考)

生産し販売することで利益を得て「経済価値」を生み出すことこそが、利潤を追求する営利企業の社会における役割であることは言うまでもありません。しかし、経済合理性をひたすら追求してきた結果、経済格差を生み、環境破壊という社会問題を引き起こしてきました。お金を儲ければ、それが消費を生み、社会全体として潤っていくトリクルダウンの仕組みも十分には機能しないことが分かってきました。

こうしたことの反省から、企業経営においても、経済視点だけでなく、環境と社会にも視点を当てて取り組んでいくことが求められるようになってきました。だから、企業経営においても「社会的価値」を追求しなければならなくなってきたというのが、本コラムの背景にある考え方です。ここで、改めて「社会的価値」の定義を以下に示します。

  • 社会の発展に結びつくこと。即ち、社会発展に還元される経済的価値、および、科学技術発展、文化発展、地域発展、組織変革、合理性の創造、安全安心の創造、仕事の創造、心豊かさの創造、良き人生の実現に向けた支援、人権の保護と深化、自然環境の保護・保全・育成(地球温暖化含む)、社会規範の発展と遵守、平和社会の構築などの経済的価値を超えた価値である。

「社会的価値」に取り組むために「社会的機能」にブレークダウンする

しかし、上記の「社会的価値」の定義は漠然としていて、企業経営としてどのように取り組んでいけば良いか判然としません。そこで、「社会的価値」と等価である「社会的機能」を実現していけばよいというのが「製品機能ではなく社会的機能でイノベーションを考える」というコラムで示したことです。そしてそこでの結論は以下のようでした。

  • 新たな「製品機能」を創り出すのではなく、「社会的機能」で「機能」を考えることによって、はじめて社会変革に資するイノベーション、すなわち、破壊的イノベーションを引き起こしていくことが可能になります。

「社会的機能」を詳細化する

下図は「社会的価値」と等価である「社会的機能」を具体的に考えていくために14種類にカテゴライズ(分類)し、そのそれぞれについての類型である「社会的機能」を示したものです。 

上図は、今、社会の中で言われている機能を集めたもので、表層的な「社会的機能」であるという意味で “Depth0”(=表層)と付記しています。 また、14この種類は上述の「社会的価値」の定義に記した項目と対応しています。

企業経営として「社会的機能」の実現に対してどのように取り組んでいけば良いか

製品機能ではなく社会的機能でイノベーションを考える」で示しましたように、「社会的機能」は、どの「機能」が「上位機能」であるということではなく、相互につながりあうことによって全体が「自己組織化」しながらホリスティックに実現されていく機能です。

こうした特徴を踏まえながら、企業の経営に携わる方々、従業員のお一人ひとりが、企業経営として「社会的機能」の実現に取り組み、「社会的価値」を創造していけば良いと考えます。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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