#284 戦略眼と現実解 『社会的価値』と『企業が社会の中で存在する意義』

『社会的価値』の定義

当社では『社会的価値』を以下のように定義しています。

社会の発展に結びつくこと。即ち、社会発展に還元される経済的価値、および、科学技術発展、文化発展、地域発展、組織変革、合理性の創造、安全安心の創造、仕事の創造、心豊かさの創造、良き人生の実現に向けた支援、人権の保護と深化、自然環境の保護・保全・育成(地球温暖化含む)、社会規範の発展と遵守、平和社会の構築などの経済的価値を超えた価値である。

 社会的価値は、市場メカニズムで決まる経済価値だけでは十分に評価しえない、質的な評価が必要となる多面的な概念です。

「行動決定要因の社会的構造」において『社会的価値』を創造するということとは

当コラム『#283 戦略眼と現実解 行動決定要因の社会的構造 「隷従と排除」から「自立と自律」への戦略転換』で「行動決定要因の社会的構造」を定義しました。

上記の『社会的価値』の定義によれば、それは、経済合理性の追求によってのみならず、個々人、コミュニティ、地域社会、自然環境の豊かさを多様性や包摂性、倫理的な公正性などによって実現される価値となります。例えば、社会システムに視座して、集団としてのアイデンティティを実現することを目的としたステレオタイプなものの見方によって引き起こされる行動ではなく、個々人に視座した、個々夫々(個々人、自然の中にある生態系など)の多様な視点で捉えたアイデンティティの実現や保護を目指したものの見方によって引き起こされる行動でなければ創造しえない価値となります。

社会的価値でありうるための条件

そこで、当社では、『社会的価値でありうるための条件』(社会的価値の価値基準)を以下のように定義しています。

自立し自律した豊かさを育んでいること

  • 自然環境であれば「自然の力で自然の豊かさを育む」などの表現に置き換えたものとなります。
  • 社会や個々人であれば「一人ひとりが自立し自律して心豊かさを育む」などの表現に置き換えたものとなります。

企業が社会の中で存在する意義

『企業が社会の中で存在する意義』は、多くの企業が「パーパス」として定義しているものです。上記社会的価値の価値基準によれば「企業が社会の中に豊かさを育んでいること」となります。

  • 企業が『社会的価値を創造する』ということは、「自立し自律した豊かさ」として『社会的価値』を創造することになります。

経済合理性に基づく、ゲーム理論を規範として行動する人びとが追求する経済発展とは異なり、社会の発展や自然環境を守って育んでいくこれからの時代における人々の行動は「行動決定要因の社会的構造」(システム-集団としてのアイデンティティの確立⇒個々人-個としてのアイデンティティの確立)を規範としたものとなります。

そして「企業が社会の中に豊かさを育んでいること」は社会への影響力となり、そうした社会への影響力を可能とする希少な優位性こそが、これからの時代の企業の『社会的価値の創造=真のブランド価値』へとつながっていきます。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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