#283 戦略眼と現実解 行動決定要因の社会的構造 「隷従と排除」から「自立と自律」への戦略転換 

前回の当コラム『282 戦略眼と現実解 日本人の思考様式が心の奥底でイノベーションを拒んでいる』では、日本人の思考様式を「隷従と排除」という行為で特徴づけて掲載しました。

  • 日本の社会の中で通用してきたものやこと(自分たちがいる集団の中で閉ざされた文化、自分たちの習慣、慣例、既成概念、既存事業)に隷従する
  • 日本の社会にとって目新しいものやこと(異文化、新発見、新しい考え方、新事業)を排除する

そして「隷従と排除」の思考様式が破壊的イノベーションを拒んでいるのではないかという仮説を立てて諸外国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、中国)との比較分析によって検証を試みました(分析にはChatGPTを使用しました)。

「隷従と排除」の対極にあるのは「自立と自律」

当社では「隷従と排除」の対極にある行為を「自立と自律」と位置付けています。

  • 他の何か(他者の言葉、コトやモノ)に囚われず、自分というものをもって自立行動する
  • 自分なりの考え方や規範をもって自律行動する

下図『行動決定要因の社会的構造』は、人の行動決定要因を社会的存在として捉えたときの構造をモデル化したもので、当社が独自に提唱している整理の仕方です。『視座』(縦軸)の「システムとして」は「社会(システム)」「組織(システム)」と置き換えて考えることができます。『目的』(横軸)の「〇〇の確立」は「〇〇の発展」、または、「〇〇の防護(保身)」「〇〇の維持」と読み換えて考えることもできます。

上図で、社会システムに視座して集団としてのアイデンティティを守る(左下の象限)という行動の決定要因は「隷従と排除」であり、個々人として自分のアイデンティティを発展させていく(右上の象限)という行動の決定要因は「自立と自律」になります。

なお、個々人に視座して集団としてのアイデンティティの発展に貢献していく(左上の象限)という行動の決定要因は「自制や滅私」か「殻に閉じこもって周りとの関わりを拒否する(ニヒル)」しかありません。社会に視座して個々人のアイデンティティの発展を図っていく(右下の象限)には「周囲とのすり合わせ」が必要になります。

サステナブル・イノベーションズ株式会社 代表取締役社長 池邊純一

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